~BEFORE 幽閉されるクリア~

「か、神様!」

「お前、どうしてここに?ゆうしゃたちとともに行動をしろって言ったよな。」

「そ、それはそうでしたが……」

「なんだ、はっきりしてくれ。」

「その……道に、迷ってしまいまして……」

「はぁ……そういえばスカイランドから出て行ったのも、道に迷ったせいだったな。」

「はい、そうです。本当に、申し訳ございません……」

「まぁいい。それより、お前はどうやってここまで来たんだ。お前も一応指名手配になっているはずだが。」

「はい、存じております。なので、邪魔するものを皆、倒してまいりました。」

「はぁ……それでこの王宮に来れるとは、まったく呆れる国だ。」

「で、では、アタシはどうすればよいのでしょうか。ゆうしゃ君たちの居る場所もわからないので……」

「はぁ……あっ、そういえば、君は確か、レイチェルとも友たちでしたな。」

「はい、そうです。それがどうかしましたか?」

「そうだな、彼女は今一人ぼっちで居るから、遊び相手になってやってくれ。」

「遊び相手、ですか?それは構いませんが……彼女はどこにいらっしゃるのですか?」

「あぁ、地下牢に居るはずだ。迎えに言ってやってくれ。」

「え、え!?地下牢!?それはまたどうして……?」

「私に逆らったから、ですかね。寂しがると思うから早めに行ってこい。」

「は、はい!わかりました!で、ですが……地下牢だと、いささか殺風景でした……」

「そうか、まぁ気が滅入るんだよな。じゃあ、眠らせてから、適当な部屋に連れていけ。鍵はちゃんとかけろよな。」

「はい!ありがとうございます!では、アタシはここで。」

「あぁ、行ってこい。」


「本当に、大丈夫ですか?神様。」

「なぁに、問題ない。しっかし、レイチェルのやつ、この前は自分をお前のたった一人の姉って言っていたな、それはどういう?」

「い、いや、お恥ずかしいところを……実のことを申しますと、ボクは昔から姉がほしくて……」

「それで、最初の妹を姉呼ばわりしていたのか。」

「そうです。彼女はあれでも相当頼れるものでして……ですから、どうか、ボクに免じて、姉を許してやっていただけませんか。」

「まぁ、もとよりそのつもりだ。」

「し、至極恐悦に存じます!」

「こ、こら、やめてくれ。感謝される筋合いはない。」


「……さん、レイチェルさん……起きてください、レイチェルさん!」

「う……ここ、は?」

「よかった、気が付いたね。」

「――!!オマエは、クリア!どうしてここに!?そして、ここは!?」

「大丈夫だよ、そう恐れずに。それに、体もまだ動かないでしょ?」

「そ、それはそうだが……だが、ここは一体……」

「あら、覚えていないのですか?ここは昔、アタシがアリアに立ち寄った時に、君たちがくれた部屋じゃないか。」

「あぁ、そうだったか。あの時は、お父さまも一緒でしたな。狂神の調査のため、いろんな国を回っていたと聞く。して、お父さまは?」

「お父さまは、もういない……」

「そうか、すまない……」

「そして、さっき、聞捨てならないことを聞いたね。」

「はて、それは?」

「狂神、と……」

「あぁ、『アマドリ=ス―』のことだ。それがどうした?」

「神様を、狂う者扱い……許せませんの、アタシ。」

「神様……!?クリア、どうしてお前まであんな得体のしれないものを……!」

「これは、お仕置きが必要だね。それも、とっておきの、とびっきりのきついお仕置きが……」

「!?ちょ、ちょっと、やめてくれ、そこを……あっ!さ、触るな!昔みたいに、触るな!んっ!」

「ここが弱いの、知ってるよ?体が動かない今なら……たっぷり楽しみましょう?」

「んっ!こ、このっ!あっ!!や、やめっ!」

「ほらほーら、ここが、気持ちいんでしょ~?ほらほら~!」


(お仕置きは、一日中を続いてしまった。次にレイチェルとクリアが目を覚ますときは、ゆうしゃたちが王宮へ攻め入るときだった。)


(終わり)

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