~BEFORE 逸れるカルカッサ軍~

「ククレスさん、もう少しで作戦地帯に入るけど、このまま進軍して大丈夫ですか?」

「何が大丈夫じゃないのだ、ケリスさん。」

「いいえ、そういうわけでは……」

「なら問題ないでしょう。」

「貴方ね……いくら何でも雑過ぎませんか?目標は裕福層で、情報を集めることにたけている方たちですよ?」

「だからこそだよ。」

「このままだと奇襲の計画が普通に攻め落とすになるぞ?それでいいのか!?」

「一緒じゃないか、どこに差があるのか。」

「あのな、奇襲は誰にも知らずに攻撃を仕掛けるからこそ奇襲だぞ?」

「だから相手に知られたらやばいって話だったんだろ?」

「そうだ!だから、もうそろそろ別動隊を出して、奇襲した後本隊をだな……」

「ああいう回りくどいことはしない主義なんだ、勘弁してくれ。」

「それじゃあ奇襲にならないですよ、話ちゃんと聞いてますか!?」

「しーらない、ボクしーらない。やらかしてもぜーんぶケリスくんがわるいんだー」

「いい加減子供時代の戯言を忘れてはいかがですか!?」

「なーに、大丈夫だよ、心配するな。」

「はぁ……もういい、勝手に指示出しますから。」

「あぁ、どうぞ。」

「どうぞって……本来なら君がすべきことだったんだぞ!?」

「やっと君呼びに戻ってくれた、それでこそケリス君じゃん!」

「しまっ!私としたことか……いい加減大人になって立場を弁えてほしいですよ、ククレスさん。」

「そんな硬いこと言うなよ、気楽にいこうよ。」

「あーもう!いい加減にしなさい!おい、そこのお前!」

「はっ!なんでしょう、参謀様。」

「左にある森に向けて、十人くらい連れて行きなさい。そして迂回してチュバルに入って、火災を起こしなさい。」

「はっ、畏まりました!」

「ひょえ、火攻めとか、やばいっすね。」

「貴方ね……」


(終わり)

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