姫様！魔王様！～BEFORE STORY～

～BEFORE 招かれるゆうしゃ～

「なぁ、プリちゃん。」

「イラっ。アンタ、いつからついてきた。」

「うーん、そうですね、最初から？」

「最初からって、どこの最初からだよ！」

「そうだね、強いて言うなら……君が生まれるときから、ですかね。」

「は？そうじゃねぇだろうが。俺が拠点を離れてからのことだぞ？」

「あーそれなら問題ないよ。ちゃんと傍に居たから。」

「貴様……」

「そういえばさ、プリちゃん。」

「二度とその呼び名で呼ぶなって、前も言ったよな？」

「あー言ったっけ？すまんな、記憶があいまいなんだ。」

「クソったれが。二度とその口が利かないようにしてやるか？」

「おうおう、怖い怖い。」

「で？俺に何の用だ。こう見えて忙しいんだ。」

「へー忙しいんだ。この草原で何をしていたんだ？」

「……てめぇなんかに教える義理はねぇよ。」

「つまり暇なんだね！」

「イラっ」

「それとも……ここで、力を制御できなくなったせいで積った鬱憤に忙しいんだ？」

「――！！」

「ほーら、また熱くなってるぞ？感じるんでしょ？」

「てめぇ、どうしてそれを……！」

「昔も言ってたじゃんか、私は、絶対全能だってことを。」

「チっ、まーたそんなしょうもない戯言を……」

「戯言なのかどうか、プリちゃんは誰よりも知っているんでしょ？」

「……」

「おっと、話はここまでだ。」

「なんなんだよてめぇは！いきなり現れていきなり消えるのかよ！」

「ああ、そうだよ。それよりさ、力の制御ができなくなってる原因と……」

「それと？」

「自分が誰なのかを、教えてあげようか？」

「――！！」

「ずっと疑問に思ってたんでしょ？どうして、ラルフには親近感が湧くことを。」

「てめぇ……」

「そして、どうして脳内に……チェレスのやつを姉さんと呼んでるのか。」

「――！！！」

「今は教えられないけどね。だが、教えてほしいなら……」

「……なら？」

「追いつけてご覧？私はこの先で待ってるからな。」

「き、貴様！！」

「じゃあねーバイバーイ。」

「さてと、これで来るかな？危なかったなーもう少しでラルフの視認距離に入るところだったわ。」

「……さぁて、待ちますか。」

(終わり)