~BEFORE 暴走するゆうしゃ~

「そろそろ、時間ですかね。」

「ほう、また何かやらかすのか。」

「いやーケンさん、まるで私がいつもいつも何かやらかしているように言わないでくれなーい?」

「……」

「いや、本当、すみませんでした。いや、申し訳ございませんでした。いつもいつもご迷惑をおかけしてしまい、誠に……」

「もういい、そこらへんにしろ。」

「はいはい、じゃあ、もうすぐゆうしゃ君が来るからね、私も少しは準備するものがあるので……」

「ほう?わざわざ俺様をこんな辺鄙なところに呼び出しておいて、自分はさっさと退散するのか。大したやつだな。」

「うぐ、そ、それはすまない……ただ、誰もいないのがつらくて……」

「お前は女子供か、一人ぼっちで居ることを怖がるな。」

「怖がってないよ、ただ、寂しくて……」

「はぁ……これだから来たくなかったぞ、お前。」

「ありがとう、ケンさん。なんだかんだ言って優しいんだね。」

「……貴様。」

「ッ!あっ、やばっ。」

「もういい、俺様は帰る。どうせ何もやることがない。」

「え、いや、ちょっと、まっ!」


「行っちゃった……一人は寂しいよ……ケンさん、なっちゃん……そばに来てよ……」

「うぅ……一人で待ち伏せはつらいよ……誰も来ないの悲しいよ……」

「むむ……やっと来やがったか、ゆうしゃ野郎め。」

「では……自分の非力さを思い知らせてから手を出すか。」


(終わり)

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