~BEFORE スラム街へ向かう~
(アレは、間違いなく神様のお力でした。)
(しかし……ラルフ君がそれを持っているのはどうしてでしょう。)
(このぼんやりしていて、優しいだけの名ばかりの魔王は、何のために……?)
(その前に……近い。神様のお力を感じ取ることができる。)
(神様はこの国のどこかにいる。そして先ほどまでの騒動で、何かをやっていた。)
(もし、もしもの話だが……騒動を起こしたのはそもそもが神様だったら?)
(もしそうだとしたら、神様は一体なんのために騒動を起こしたんでしょう。)
(私のすべての行動には、必ず何かしらの意味がある。)
(そう仰ってた。そう考えると、きっと何かしらの意味があるはずだ。けれど……)
(うぅぅぅ!!一体何のために騒動を起こしたのでしょう!世界平和のためだとしかわからなくて、頭がくしゃくしゃになりそう!)
「どうかしたのですか、師匠。」
「い、いいえ、何も、ないです……」
(いけない、よりにもよってゆうしゃ君……神の敵対者に心配されてしまった。)
(アタシは……神様の従順なる僕。こんなアタシを心配できるほど、余裕があるのでしょうか。)
(先ほどの騒動で、神様と接触したようだけれど、手は出せなかったところから察すると、たぶんこいつにもわかるだろう。神様は絶対的だ、全知全能ではなく、絶対全能であることを分かっているだろう。)
(だが、それでもだ。)
(エリハイア王、あのハイムっていうじじぃの命令によって神様を殺さなければならなくなったこいつは、きっとまた神様に牙を向けるでしょう。)
「ならばいっそ、今のうちに……」
「なんですか、師匠。今のうちに何をされるのですか?」
「ひっ!い、いいえ、なんでもないです。」
「??」
(やばいやばい、思わず声に出してしまった!あーもう!知られたらどうしよう!)
(だが……ふっ、いくら神の敵対者であっても、元がアレだし、大丈夫でしょう。)
(幸いプリスティンちゃんはアタシの味方をするかもしれないから……後でプリスティンちゃんに相談してみようか。)
(ゆうしゃのやつを殺すことを。どうせ置いていても食料の無駄にしかならないし。)
(終わり)
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