~BEFORE リクリーム軍と接触~

「……以上です。」

「よろしい。下がっていいぞ。」

「はっ!畏まりました。」

「ところで、お前さん、見ない顔だな。」

「い、いいえ。なんとも顔合わせをしてまいりましたのではないですか。」

「そうだっけ。じゃあ、アンタの名前、教えてくれ。」

「はっ!私、あま……」

「ドール、でしょ。」

「――!」

「おっと?それ以上動いたら命はないぞ。」

「バレてしまった以上、戻るつもりはない。ではーー!」


「ちっ、弱っちいな。狂神の作品なのによ。」

「くっ、殺せ!私は、主様に関する情報など、一切いうつもりはない!」

「あぁ、大丈夫。言わなくていい。」

「――!」

「どうせお前らドールは大した情報を与えられていないでしょうから。おい、地下牢に連れていけ!」

「私に、何をするおつもりですか?」

「なぁに、知らなくていい。目隠しはちゃんとしろよ。自殺防止のために布を嵌めろ。」

「むっ、むううう!!ぐうう、ぐうう!!」

「たっぷり、味わせてもらうぞ。ドールの味をな。」


「り、リクリーム様!」

「あ?どうした、そんなに慌てて。」

「街中にて、ラルフ様と思わしきものが現れたとのこと。」

「ラルフ、だと?」

「どういたしますか。」

「やつを迎え入れる。そして、説得する。」

「説得、とおっしゃいますと?」

「この国から出ていけって。さすがの俺でも、家族には手は出せないよ。」

「畏まりました。それと、他の同行者もいるご様子でしたが、そちらはどういたしますか。」

「同行者?まぁ、そりゃあそうか。男か?男ならまとめて俺が説得する。女なら、わかるよな。」

「うひ、あ、ありがとうございます。」

「さてと、ラルフ……お前は何のために出て行って、そしてまた戻ってきたのやら……俺にはわからんが、さすがにこれ以上お前にこの国は任せられん。」


「大丈夫だ、ラルフ。怖いこと、難しいことは、お兄ちゃんが全部なんとかするから。それまでに……二度とこの国に戻ってこないで。」


(終わり)

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