~BEFORE 一行を迎え入れる~

「どうするんですか、主様。地下牢?ってところに、アキサメちゃんが捕まってるよ。」

「それなら大丈夫だ、アキサメのやつは、すでに回収した。」

「じゃあ、なぜ、アタシがここに……?」

「アイツは……壊れてしまったんだ。まったく、英雄は色を好むってわかるが、そこまでするかよリク君。」

「リクリーム様に、何かされましたのですか?」

「……お前は知らなくていいよ。」

「えー?アキサメちゃんは知ってていいのにアタシはダメなの?」

「ダメって言ったらダメ!これ以上聞かないように。」

「むむ……いいもん、アキサメちゃんに聞くもん。」

「……言ってもらえるなら聞いてみなよ。まぁ、それはそうと……」

「あー!ゆうしゃ様御一行だ!あれあれ?リクリーム様と一緒ですよ?」

「……いい機会だ、リクリームを懲らしめてもらおう。」

「懲らしめる?」

「……」

「主様?何急に黙り込むのですか、もっとハルサメちゃんの相手をして。」

「ちょっと待ってね、あとで構ってあげるから。」

「ダ―メーだ!今すぐアタシに構うのです!」

「ちょ、おい!揺さぶるっ!あっ。」

「どうかしましたのですか?」

「これ、ストッパーつけ忘れてしまったわ。」

「ストッパー?何者かを操ろうとしてましたのですか?」

「その通りだ。ラルフの中にある私の力をちょっと強くして、自己を取り戻させようとした。」

「それでそれで?」

「……これは厄介だな、これ以上の干渉をすると、今すぐに出てくる。元々はすぐさまに戻らせようとしてたのに……」

「むむむ?何か、難し事言ってる?」

「難しくないよ、ただ。」

「ただ?」

「こりゃあ手加減せずにやっちゃうだろうな。最悪リク君が死ぬかもな。」

「えーいいじゃん、あんなの。」

「別に計画的には居ても居なくても大丈夫だけど、うーん……まぁいっか。」

「でしょでしょ、あんな魔族、どうでもいいのですよ。」

「まぁ、これも、うちのアキサメちゃんを滅茶苦茶にしやがった罰だ……と、その前に、アキサメの様子を……」

「ふむふむ、アキサメちゃんの様子は?」

「……まだ何もされなかったわ。」

「もー!主様の嘘つき!なーにが滅茶苦茶にされたのですか?なーにが壊れてしまったんですか!」

「いてっ!叩くな叩くな!わ、私だって知らなかったんだぞ。あいつのことだ、てっきりすでに手を出したのかと思ったのに!」

「もう!もうもうもうもう!!」

「ウシかよ!じゃあ、予定通りにするんだぞ。」

「うん!じゃあ、アキサメちゃんと一緒に行ってきますね。」

「あぁ、いってらっしゃい。」


(終わり)

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