~BEFORE 王位争奪~

  「やはりお前か、アマドリ!」

  「おー怖い怖い。そう怒らないでくれよ、リクくん。」

  「馴れ馴れしく呼ばないでくれ!」

  「そうだったね、私とアンタは敵だったね。」

  「ふざけた態度を……!皆のもの、奴に我らアリア自衛団の強さを、思い知らせてやれ!」

  「おー怖い怖い。では……神の力を、思い知らせてくれよう。」


(一方で)

  「おかしい……」

  「何がおかしいんですか、姉さん。」

  「姉さんで呼ばないでくれ、今は、私が貴方の僕であり、臣下でございます。」

  「そうだったな、レイチェル。じゃあ、教えてくれ。何がおかしかったんだ。」

  「アリア自衛団……リクリーム様の軍がこちらに来ていない。それところか、動いていない様子。」

  「動いてない……?兄さんは何を考えているんだ。」

  「それはわかりませんが……大丈夫です、寧ろ好都合です。」

  「この間にさっさと王位を抉り取る、のだな。分かったよ、姉さん。」

  「姉さんではございません、私のことはどうか……」

  「はいはい、わかったよレイチェル。」

  「はぁ……そもそも、私は貴方の姉ではないのに、どうして……」

  「何か言ったか、レイチェル。」

  「いいえ、なんとも。では、参りましょうか。」

  「あぁ。父さんが残した、一つだけの宝物を……取り戻そう。」

  「はぁ……私は姉ではないし、リクリーム様も兄ではないのに……一体どうして……」

  「早く行こう、レイチェル。」

  「はっ、畏まりました。」


(終わり)

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