~BEFORE 命令通達~

  「どうかなさいましたか、王様。」

  「……一つ、気になることがあってね。」

  「それは……何でございましょう。」

  「敵の親玉、すなわちアマドリのやつをだな。」

  「……討伐できるかどうか、ということでしょうか。」

  「いや、それについては心配しておらん。ワシの命令であれば、アイツもしっかりと敵を討つだろう。」

  「すごい根拠でございますね。ということは、他に?」

  「そうだ。問題なのはクリアのやつだ。」

  「クリアさん、ですか……確か、昔は王様に仕えっていた者の娘、でしょうか。」

  「あぁ、アイツには世話になった。が、あの日突然に消えた。」

  「それなのに、今更戻ってきた意味を……でしょうか。」

  「ワシが仕入れた情報の中には、あの子の姿を見たことがある存在が……」

  「一つもない、でしたよね。」

  「そうだ。その間に、彼女はどこへ消えてしまった。そして、何をしていた。」

  「……となれば、私の力を使ってほしい、ということでしょうか。」

  「話が早くて助かる。早速使ってみてくれ。」

  「畏まりました。」


  「はぁ……はぁ……」

  「どうした、ずいぶん疲れた様子だが……負担をかけてすまない。」

  「い、いいえ、大丈夫です。」

  「して、どうだった。」

  「……いいえ、よく、わかりませんでした。」

  「わからなかったのに、そこまで力を使ってしまったのですか?」

  「いいえ、違うの!わかったことがいっぱいある、いっぱいあります!だけど、だけど……!」

  「だけど、何が?」

  「い、言ってはならないことがある。言ってはならないって、彼がーー!」

  「……?どうした、口をパクパクして……」

  「――!!――!!!」

  「これは……声を封じられた、ということだろうか。何があったんだ。」

  「……!」

  「そう気を落とすな。大体のことはわかった。」


  「アマドリ、お前がクリアの後ろに居た、というわけだな。アマドリ、やはりお前が……!」


(終わり)

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