第7話
今日は久しぶりに小鳥遊さんに会える日だ。といっても、一週間ぶりなのだが。
俺はカバンに勉強道具などを入れ、家を出た。
いつも通り自転車で図書館に向かい、図書館に着くと、もう彼女は先に来ていた。
「あ、こんにちは。五十嵐さん」
「久しぶり小鳥遊さん。隣いい?」
小鳥遊さんに了承をもらうと、隣に座ることにする。勉強道具を出しながら準備していると、彼女が話しかけてきた。
「あの、いつも恋愛相談に乗っていただいてありがとうございます」
「ううん、気にしないで」
「接点を持つことが出来て、話すことも増えたので本当にありがとうございます」
小鳥遊さんが幸せそうに話している。好きな人とは順調のようだ。俺もこの間からは吹っ切れて、小鳥遊さんのサポートを出来る限り頑張ろうとは思っているが、やはり心にくるな。
俺はそれを悟られないように、話をふる。
「順調に仲良くなっていけて良かった」
「これも五十嵐さんのお陰です」
「いやいや、俺は背中を押しただけ。勇気を出したのは小鳥遊さんだよ」
そう言うと小鳥遊さんは嬉しそうに笑う。
それから俺たちはちょくちょく話をしながら、勉強もすることにした。
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「後、もう一つだけ聞いてもいいですか?」
あの後勉強をし続けていると、段々と日も傾き始め、そろそろ解散することになった。
勉強道具を片付けているとそんなことを聞いてきた。
「うん、どうしたの?」
「あの~、その、さっき好きな人と接点を持てたと言ったじゃないですか」
「ああ、言ってたよ。それがどうかした?」
「どういう話題でお話をすればいいのでしょうか」
小鳥遊さんが悩んでいたのは、会話のことだった。確かにお互いの話題が共通している方が、会話も盛り上がる。相手にもそっちの方が好感は持ってもらえるだろう。
「う~ん、相手の好きなものとか分からない?」
「彼はずっと本を読んでいますね。それか友達とお話ししていました」
「じゃあ、本の話をするのもいいかもしれないね。お互いにどういう本を読むとか、そういう簡単な話題で良いと思う」
「確かに!ありがとうございます!」
今回も上手くいってくれるといいが。
「……五十嵐さんはどういう本が好きなんですか?」
と、帰ろうと駐輪場に向かおうとすると、そんなことを聞いてきた。
「俺の好きな本?どうして?」
「さ、参考と聞く練習のためです」
参考と練習か。本当に小鳥遊さんは真面目だな。
「俺は何でも読むかな。特に恋愛ものとか好きだな」
「そ、そうなんですか。ありがとうございます」
そう言って彼女と別れる。俺も明日、小鳥遊さんが図書室に来た時のために、話題を考えながら、家に帰ることにした。
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