第4話
今、目の前にいるのは見間違えるはずもない、小鳥遊 美咲だった。俺はショートしそうな思考を出来る限り使い、冷静に返す。
「ど、どうしましたか?」
「本が高いところにあって取れないので取ってくれませんか?」
小鳥遊さんは単純に本を取ってほしいだけのようだ。そのお陰で少し緊張がほぐれた。
俺は脚立を持ち、彼女の後ろに続く。小鳥遊さんは本を指差し、あれを取ってほしいと言ってきたので、脚立を置き本を取る。
「はい、これで良いですか?」
「はい、ありがとうございます」
彼女は本を受け取ると、笑顔でお礼を言ってきた。その笑顔の凄まじさをもろにくらってしまったので鼓動が早くなってしまっている。
俺は顔が赤くなっているのを気付かれないように顔を背けながら、受付のところに戻る。
俺は小鳥遊さんから図書カードを借り、借りた日にち、本の名前を記入していく。
小鳥遊さんの図書カードはびっしり埋まっていた。難しそうな本など色々読んでいたため、ここでも勝てないのかと一人悲しくなったが、それは胸にしまっておく。
「はい、どーぞ。返すのはいつでも良いから」
「ありがとうございます」
そう言い小鳥遊さんは図書室を出ていく。俺は気合いを入れ直し、勉強をすることにした。
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家に帰りスマホをいじっていると、昨日のように連絡がくる。
『今大丈夫でしょうか?』
『大丈夫だよ』
勿論小鳥遊さんからだった。今日はどうなったのだろうか。
『今日はどうだった?上手くいった?』
『はい、自分にしては上手くいったと思いますが、やはり顔を見てしまうと鼓動が早くなってしまって』
『それは良かった。次からも大丈夫そう?』
『大丈夫、と言いたいところですが、少し警戒されているんですよね』
小鳥遊さんほどの美少女が話しかけてきたら、相当なコミュ力がない限り警戒してしまうだろう。
『何か良い方法ないですかね』
『同じクラスなの?その人は』
『はい、同じクラスです』
同じクラス、普通だったらアタックしやすそうだが、相手に迷惑は掛けたくないとの事。
『何か喋る理由を考えたら良いんじゃないか?一人になるタイミングの時だったら相手に迷惑は掛からないだろうし』
『そうですね。少しずつ仲を深める感じの方がいいですよね。ありがとうございます』
『気にしないで。頑張って』
俺は返信しスマホを閉じる。彼女の恋愛相談を受けてから、小鳥遊さんと関わることが増えてきている。もしかしたら同一人物だったりして……。
「……何てな」
そんな考えは早々に捨て、俺は読書をすることにした。
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