第3話
家に帰り、自分の部屋に向かっていると、ポケットに入れていれたスマホが振動する。もしやと思い、スマホを見ると予想通り、小鳥遊さんからだった。
そういえば、この前相談のために連絡先を交換したんだった。
俺は部屋に入るとカバンなどを投げ捨て、ベッドに横たわる。スマホを開くと書かれていたのは、
『今、お時間よろしいですか?』
と、一言書かれていたので、俺はすぐに返すことにした。
『うん、大丈夫だよ』
そう返すとすぐに返信が返ってきた。
『ありがとうございます。この前言われた通り挨拶をしてみると、ちゃんと返してもらえました!』
『成功したんだね!よかったよかった』
『ですが、やっぱり迷惑を掛けてしまいました。どうすれば良いでしょうか』
『迷惑?例えばどんな?』
『えーっと、周りの人が集まってしまうというか、そんな感じです』
周りに集まる、もしかしたら小鳥遊さんは学校でも人気があるのかもしれない。確かにあんなに美人だったら、周りの人は放っておかないだろう。
『そうなんだ。大変なんだね』
『はい。意外と大変でしたね。ところでまた一つ良いですか?』
『うん、何でも良いよ』
『次はどんなことをすれば良いでしょうか』
他にすることか。挨拶をしただけで周りが集まってしまうのならば、難しそうだな。
話を聞く限り、男子側は特になんともない奴なんだろうな。
『う~ん、その人が一人になるタイミングってないの?』
『一人になるタイミングですか。少し思い出してみますね』
と、返信に少しの間が入る。そう上手くいくだろうか。部活動や委員会、他には何かあっただろうか。
『そういえば、一週間に数回委員会で一人になるタイミングがありました。その時に話しに行ってみます』
『話せるタイミングがあって良かった。頑張って』
そう返すと、かわいい犬のスタンプでありがとうと返ってきた。こういうところまでかわいいと心配になってくる。
上手くいってほしい反面、どこか複雑な気持ちを隠せないまま、俺はそのまま眠りに着いた。
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「優太、一緒に帰ろう」
「ごめん、今日は委員会あるから」
「そうか、じゃあな~」
放課後授業が終わり、カバンに物を入れていると、拓哉が話しかけてきた。
だが、俺は委員会があったため断ると、すぐに図書室に向かう。
俺の所属している委員会、図書委員会は、毎週張り出される紙に、当番が書かれている。
仕事は昼に本の貸し出しなどを行い、放課後は本の貸し出しと本の整理などを行う。昼と放課後は別れており、俺は放課後の方にお願いしている。
昼はゆっくり過ごしたいというのと、放課後の方が案外仕事が楽だからだ。
昼はぼちぼち本を借りにくる人もいるが、放課後はほとんど人が来ない。なので、静かに本を読めたり、勉強することが出来るので、意外と嫌いじゃない。
だが、仕事が楽ということもあって、部活に所属している人が多くいるので、仕事を代わってもらえるかというお願いが絶えないのが一つ欠点だ。
そうこう考えている内に図書室に着き、扉を開ける。案の定人はおらず、静かに待受のところに座る。
俺は勉強道具を出し、勉強していると、扉が開く音がした。
俺は気にせず勉強を続けていると、足音がこっちに向かってきた。
「あの、少し良いですか?」
どこか聞き覚えがある声がしたので、返事をするためにそちらを見ると、最近関わりがあった人物がいた。
「はい、なんでしょ…う……か。って、小鳥遊さん?!」
そこには、少し緊張している様子の小鳥遊さんがいた。俺は嫌な予感を拭えないまま、これからの事をなけなしの理性で考えることにした。
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