図書館によくいるあの子、学校で有名な美少女だった

第2話

　朝、いつも通り俺は支度をし家を出る。親は朝から仕事でいないし、中学からこのスタイルだったので特に違和感はない。

　部活も入っているわけではないので、朝練などはないがついつい早く、家を出てしまう。

　昨日の事やゲームの事を考えていると校門付近までやってきた。何人にか挨拶をしてきた友達もいるので適当に返しておく。

「お、おはようございます」

「ん？おはよう」

　聞きなれない声で挨拶をされる。周りの人がこちらを凝視しており、不思議に感じたので、声の方向を見ると、

「た、小鳥遊さん？今俺に挨拶した？」

「は、はい。そうですけど……」

　そう言い、小鳥遊さんは足早に校舎まで行ってしまった。俺は今起きた事を完全に理解できず、教室まで虚ろ虚ろ向かっていた。

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「お、おい五十嵐！さっきのどういうことだよ！」

「お前と小鳥遊さんにどんな関係が？！」

「お前だけ抜け駆けすんなよ！」

「わ、わかったから静かにしろ！本人に聞かれるかもしれないだろ！」

　教室に着くとすぐに暮らすの男子生徒に囲まれる。いや、他の暮らすの奴らもいるな。

「単刀直入に言うぞ。俺と小鳥遊さんにはほとんど関わりはない。以上」

「それだけで納得すると思ってんのか！」

「証拠は？！証拠を出せ！」

「あーもう面倒くせえな！」

「ほらほら優太も困っているしそこら辺にしてあげな？」

　一筋の光のように助け船を出してくれたのは俺の数少ない友人、甲斐　拓哉(かい　たくや)だった。

　頭が良く、外見も整っていて誰にでも人気があるが、本人は恋愛などに興味がないため、アピールしてくる女子なども無視している。

　良く告白されているらしいが、心を動かされた人は一人もいないらしい。最近では男子のことが好きなのではと、勘違いされており、腐女子が興奮しているらしい。

「後の話しは俺が聞いとくから、自分の席に戻りな？」

「わ、わかった。甲斐、後は頼んだぞ」

「はいはい」

　そう言うと、俺の前の席を借り、そこに座る。椅子の背もたれに腕を置き、寄りかかるように座る。その動作さえもかっこいいため、少し腹が立ったのはここだけの内緒だ。

「で、実際どうなの？白？黒？」

「完全に白だ。小鳥遊さんと喋ったことさえほとんどないんだぞ？それに俺みたいなフツメン、好きになることなんてあり得ないし」

「う～ん、優太は自己評価が低すぎるね」

「お前に言われると嫌みにしか聞こえないな」

　そう言うと拓哉は、これ以上詮索する気はないのか。違う話をしだした。

　ま、ただの気まぐれだろう。彼女なりの優しさなのかもしれない。

　俺は再び小鳥遊さんの方を見た。きれいな黒髪を腰辺りまで伸ばし、読書をしている。

　顔のパーツがテレビなどに出ているモデルなどよりも全然整っており、入学してから毎日のように告白されているとのこと。

　そんな別世界の住人が俺の事を？そんなラブコメみたいな展開はない。ここは二次元でもなければ、空想の世界でもない。

　淡い期待を切り捨て、拓哉との話しに花を咲かせることにした。