図書館によくいるあの子、学校で有名な美少女だった
@1ya12ma2to
第1話
今日は土曜日、俺は昼飯を食べ、少し遠くの図書館に向かっていた。すぐ近くにも図書館があるが、そっちには向かわない理由があった。
一つ目が静かに勉強したいためだ。俺にも少なからず友達はおり、勉強しているときに会ってしまうと、ほとんど勉強出来ないからだ。
そしてもう一つ、それは図書館にいるあの子と会うためだ。彼女とは図書館に通っているときに仲良くなった。彼女が高いところにある本を取るのに苦労しているところを俺が取ってあげると、少しずつ仲良くなっていった、というわけだ。
頭の中で思い出している内に図書館に着いたので、自転車を置き中に入ることにした。
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図書館に入り、勉強専用の部屋に入るとやはり彼女がいた。
中は少し広くなっており、大きい声を出さなければ、周りに迷惑はかからないため、いつも静かに話している。
「あ、こんにちは。今日も勉強しに来たんですね」
「こんにちは。小鳥遊さんも勉強に?」
軽く挨拶を交わし、彼女の隣に座る。最初は抵抗があったものの、今は恥じらいもなく座っている。
彼女の名前は小鳥遊 美咲(たかなし みさき)。長い髪を三つ編みにし、眼鏡をかけている。スタイルは抜群で、出るところは出ており、引っ込むところはしっかり引っ込んでいる。
見た目からは地味な印象を受けやすいが、話しやすく、すぐに仲良くなることが出来た。
俺の学校にも同姓同名の女子生徒がいるが、あまりにも見た目が違うため、同じ人物ではないだろう。
俺たちは勉強道具を出し、静かに勉強し始めるのだった。
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「あ、あの!」
「ん?どうしたの?小鳥遊さん」
徐々に日も傾きはじめ、勉強道具をしまい、少し談笑してから帰ろうとすると、彼女に声をかけられた。
「あのー、ですね……」
「?」
なにやら話しづらそうにしているが、少し待っていると決心が着いたのか、彼女が話し始めた。
「恋愛相談にのってくれませんか?」
「れ、恋愛相談?」
「は、はい」
思いもよらない言葉によろめきそうになる。なぜなら俺は、彼女のことが好きだったからだ。真っ直ぐな目、誰にでも優しい彼女に惹かれるのはそう難しい話ではなかった。
だが、小鳥遊さんには勉強面などでお世話になったため、その恩を返すために、俺は、
「……わかった。その恋愛相談にのるよ」
「!あ、ありがとうございます!」
俺は恋心を胸にしまい、彼女の話を聞くことにした。
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「その人は同じ学校の人なんですが、中々話す機会が少なく、休みの日にしか話せないんです」
「そうなのか。どんなところが好きになったんだ?」
俺がそう聞くと恥ずかしそうに答えてくれた。
「その人はかっこよくて、誰にでも優しくて、こんな姿の私でも受け入れてくれる人なんです」
「そ、そうなんだ」
終わった。確実に俺ではない。俺の見た目はお世辞にもかっこいいとは言えず、そして優しい性格でもないため、確実に俺ではないということがわかる。
それに彼女のこんな幸せそうな顔を見てしまっては、介入する余地もない。俺は諦め、彼女の話しに集中する。
「学校で話したことはないの?」
「はい、一度もありません。彼はご友人はいるようですが、一人で行動することが多いので話す機会が少ないんです」
おお、そこは俺と似ているな。もしかしたら仲良くなれるかも?
「え、けど一人でいることが多いんだったら、話しかけられるんじゃないのか?」
「……ここでは喋られないのですが、私の方に事情がありまして」
話しづらそうにしているため、それ以上詮索することはせず、話を聞く。
「それで、私はどうすれば良いのでしょうか?」
「そうだな……」
ない頭で考え、出てきた結論は簡単なものだった。
「まずは挨拶から初めて見たらどうだ?それぐらいなら迷惑にはならないだろ?」
「そう、ですね。今度やってみます!」
「うん、頑張って」
出来ればその生徒と変わりたいがそうにもいかない。俺は彼女、小鳥遊さんの手伝いに力を入れることにした。
それが自分に影響してくるとは知らずに………。
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