職場の姐さん・一瞬で消えないミカン(後)
~前回のあらすじ~
ザボンの仲間である巨大なミカン@晩白柚を見た職場の姐さん(ミカンとトマトが好物)は「こんな大きいおミカンを娘が見たらびっくりするに違いない♪」とルンルン気分で晩白柚を小脇に抱えて帰ったのでした。
姐「京さん! なかなか食べられへんかったやん!」
京「だから、『なかなか食べられないミカンです』って言うたでしょ?」
色々な意味で『なかなか食べられないミカン』なんです。スーパーでゴロゴロ売っているわけでなく、剥くのに労力も必要な巨大なミカンですから。
姐「皮を剥いて実を割るまでに三十分もかかったやん!」
京「諦めずに必死に皮を剥いて食べたんでしょ? 『むぎぎぎぎっ!』とか言って」
土佐文旦も皮が分厚くて剥くのに一苦労な柑橘類ですが、土佐文旦よりも二まわりほど大きな晩白柚は『ミカン一個なんて一瞬で消える』と豪語してノールックでミカンの皮剥きをしてしまう姐さんでも一苦労したようです(笑)
京「まぁ皮を剥くにはともかく、お嬢さんはどんな反応でした?」
ちなみにお嬢さんは必死の形相で土佐文旦のみを割ろうとする母を「オカン、必死やな」って、生温い目で見ていたそうです。
姐「それがな、寝起きやったからか『兄貴の頭くらいあるなぁ……』って言って部屋に戻って寝てしもて……土佐文旦の時は『何このデッカイ蜜柑!』って大爆笑したのに」
残念ですが大きなミカンに対する免疫が出来てしまったのか反応が薄かったようです。姐さんちょっぴり寂しそう。
姐「皮を包丁で削いで、白いところをテレビを観ながら取って」
※ザボン系柑橘類は黄色い皮の内側に分厚い綿状の部分が有ります
ザボン系柑橘類の欠点は皮が分厚いこと、品種によっては皮を剥いて実の小ささにガッカリすることもしばしば有ります。
京「あの白い所は苦味抜きをして砂糖で煮ると食べられるんですって」
姐「そこまで時間はかけられへん、食べたいし」
人間ってのは根本的に面倒なことが嫌いで美味しいものを食べたい生き物です。姐さんはよくテレビ番組で料理を見て「誰か作って~」と言っています。
京「また『ムギギギギッ!』でしょ?」
姐「うん、食べたいのになかなか食べられへん。厳しい戦いやったわ」
今回も姐さんは皮むきと実を割るので苦労したようです。必死になって皮を剥き、奇声を上げて顔を真っ赤にして実を割ったであろう晩白柚はどんな味だったのでしょう?
姐「もうな、自分が小さくなった気がしたわ。皮を剥いた実でも小さい南瓜並みの大きさやで? 一日で四分の三ほどしか食べられんかったわ。そういう意味でも『なかなか食べられないミカン』やな♪」
ちなみに食べた感想は「実がしっかりしててザクザクした食感やな、甘酸っぱくて美味しかったで」だそうです。
私も食べましたが、感想は姐さんと同じですね。実がしっかりしていてザクザクとした感じ。ミカンですから甘酸っぱいのは当然としてミカン(と言うにはあまりにも巨大だが)一個でお腹一杯になるなんて、体が小さくなったと錯覚するほどです。
京「四分の三? 一人で食べてですか? 我が家では家族三人で食べて四分の一ほど余りましたよ?」
姐「さすがの私でも一瞬で消すのは無理やった♪」
結論・晩白柚はミカン姐さんでも一瞬では消せない。
―――数日後―――
今回も皮を細切りにした後に湯がいて水に晒して苦みを抜き、砂糖で煮て『晩白柚の皮ジャム』を作って姐さんにお裾分けをしました。今回は土佐文旦の皮でジャムを作った時に姐さんから言われたアドバイス通りに果肉も入れました。
京「姐さん、今回は果実も入れて作ってあります」
姐「や~ん、ありがとう。お母さんにお礼を言っておいてね」
姐さん、ジャムを作って瓶に詰めたのは母ではありません。私です(笑)
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