職場の姐さん・一瞬で消えないミカン(前)

 さて、すっかり『職場の姐さん観察日記』と化してきたこのエッセイ。今回も小説の展開に行き詰ってどうしたものかと頭を抱えたり、仕事をしていると何故か周囲に誰も居なくなって一人で工場にある二十台の機械を動かしている状況に「勝手に仕事しとけってか?」とちょっぴり腐り気味。ストレス発散に姐さんを弄る事にします。


 ちなみに姐さんはスラッとしたデニムが似合う美人さんで、女優に例えると『失楽園』に出ていた頃の黒木瞳さんみたいな感じです(と言っておけば何とか許されるであろう)


 京は同じ『ひとみ』でも白石ひとみさんの方が好きです。


京「姐さん、ミカンを買いますけどシェアします?」

姐「ん~? いくら?」


 京はヤフオクでミカンを五キログラム買いました。大きさは不ぞろいで、何個入っているかはわかりません。


京「五キロで千円チョイです。一キロくらいどうですか?」

姐「送料もかかるやろ? 一キロやといくらいる?」


 三百円でどうかと答えたら姐さんは「うむ、よかろう」と返事をしました。クックック……作戦成功です。今回買ったミカンはとても大きな品種です。出品時の画像では五キロ入りで五個しか入っていませんでした。一つで一キロある大きなミカンです。前回の土佐文旦(これもかなり大きなミカン)同様に必死こいて剥いてもらいましょう(笑)


母「丁椎、何か来たで? なに買ったん?」

京「ミカンや、変わった箱で来たな……」


 数日後、ミカンが届きました。ミカン箱で届くと思っていたのですが、何故か人参の箱に入って届き来ました。細長い箱です。前回の土佐文旦は普通に出荷できるものだったので正規の箱入りでしたが、今回は『ご家庭用』の見栄えが悪い代物なので箱もリサイクル品です。な~に、皮を剥いたら一緒ですって。


母「また変なミカンを買うたんやろ?」

京「開けてみよか?」


 注文した時は「一個一キロってどんなミカンやねん」と思っていましたが、実際に届いたミカンは三個でした。大きさの記載は有りませんでしたし画像も「イメージ画像です」とありました。


母「ひゃあでっかいミカン!」

京「予想外やな、すっげぇなオイ」


 届いたミカンのは『晩白柚ばんぺいゆ』と呼ばれる世界最大級としてミカン業界でメジャーな品種です。皮が分厚くて『ミカンマイスター』である職場の姐さんが剥くのに一苦労した土佐文旦より二回り大きい……といえばどんな怪物か想像できるでしょうか?


母「でも前に買った奴(土佐文旦の事です)より汚いな」

京「ご家庭用なんや、見た目が悪いB品やからその分安いんやで」


 予想外の大きさに狼狽える京と大きなミカンを見てテンションが少し上がる母。


京「一番重い奴を持って行くか、中身がスカスカやったら叱られるしな」


 この手のミカンで軽いものは笑えるほど中身が小さかったりしますので要注意です。


 次回は『職場の姐さんVS晩白柚』です。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る