友人の初体験話
私は昭和五十年代の生まれ、四十代半ばええ歳こいたオッサンです。第二次ベビーブーム世代なので同期がやたら多くて『同期に声をかければ家が建つ』レベルで多彩な職業に付いている友人・知人・そのまた友人が居ます。実際に我が家の襖は同期の表具店に張り替えてもらったし、瓦を吹き替えてくれたのも同期。メーカーにこだわらなければ車も同期経由で買えると思います、多分。
まぁ色々な奴が居るわけです。で、私みたいな癖の強い奴の周りには癖が強い連中が集まる訳です。今回は友人のチョットだけエッチな話。
京「―――で、カブをCD五〇のミッションで四速化したうえでプレスカブの配線やリトルカブのメーターを使ってトップギヤ表示ランプを灯すわけや」
友「ふ~ん、また変わったことをしてるなぁ」
毎度のことながらカブ談義、友人はスクーターに乗っていますが機械類は好きな奴です。
京「下手に姉ちゃんをかまうより金がかかるで」
友「いや京、それは違うぞ。女は桁違いで金がかかる……って言うかかかった」
京「?」
普段なら「そうやな、でも止められんよな」と笑うはずの友人が妙に達観した表情で語りはじめました。
友「実はな、この前の日曜に雄琴へ行ってきてな」
京「なにっ! お前は女に興味があったんか?!」
友「いや、俺かて男やし女に興味はあるぞ?」
説明しよう、ここでいう『雄琴』は大人の男性がプロのお姉さんと男女の営みをするのでとても有名な地域である。まさかこの男が女性に興味を示すと思いませんでした。
友「俺は初めて
京「いや、俺はお前が今まで未経験やったってことが驚きやわ……」
世間では『三十歳まで童〇なら魔法使いになれる』みたいなことを言われる昨今、こやつは四十五歳まで未経験だったのです。恐らくドラ〇エの世界ならイオナズンとかベホマくらい使えるくらいでしょう。
京「でも、なんで急に体験してこようってなったんや?」
友「う~ん、やっぱり新型コロナの影響かなぁ……」
京は新型コロナの影響で若干の収入低下に悩まされています。友人の会社が時短営業とかしている様子はありません。そもそもこいつは新型コロナの影響を受けるはずがない仕事です。
友「志村〇んとか岡江久〇子さんとか、元気で生命力にあふれてた人が新型コロナで亡くなったやん。それで『人間って死ぬ時はあっけない』と『何で死ぬかわからん』と思ってな。ボーナスが出たこっちゃし思い切って十万円を握りしめて行ってきた」
カクヨムで出来る性的表現は限られていますので細かな事は書けません。詳しく知りたい方には申し訳ないのですが、詳しい話は出来ないって事でご了承を。
「優しい嬢のおかげで何とか無事に終了した。嬢に『私が卒業させる童貞さんの最高齢です』って言われたけど」
「それはそれは、いい体験やったな」
いい年になって趣味に走り出すと止まらないのは自分でも体験済み、友人が風俗遊びに走るのではないかと心配しました。ちなみに私の初めてのときは入れる前に出ちゃって(笑)……失礼いたしました。
京「これからも行くつもりか?」
友「どうかなぁ」
ところが友人はため息を一つつきました。最初からよい体験をした割りに冴えない表情です。
友「なんか、今まで妄想で『どれだけ素晴らしいものか』と期待してたから、いざ体験すると『ふ~ん、こんなもんかぁ』って。気持ちよかったけど大金を出してまでするもんやったかなぁって」
結局友人はその後スケベなお店へ行っていないようです。
友「なんか童貞やったころの方が楽しかった気がするわ」
京「いやいや、本気で恋愛して抱く女と違うって」
それどころか前にも増してミニバイク弄りに精を出しているように見えます。
友「商売女を抱いても何も残らん、ボロバイクに金を突っ込んだらキレイなバイクが残る。同じ八万円を使うんなら手を汚してバイクを弄る方が実になる」
京「八万って……高級な店やったんやな……」
彼が精を出すのはエッチなお店じゃなくてミニバイクの修理。私も同じ様なことを常日頃から思っています。やはり『類は友を呼ぶ』なんですね。
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