職場の姐さん・ミカン一個くらい一瞬で消せる

 私の職場にいるお姐さんはトマトや野菜、そして柑橘類が大っ好き。季節外れに採れた夏ミカンを大喜びで食し、オマケで持って行った柚子を帰宅後早々にザクザクと刻んで砂糖で似てジャムにして「ハッ! お吸い物や料理に入れるのに一個くらい残しておけばよかった……」と柚子ジャムを食ってハイテンションになったあとで落ち込んだりするお茶目な姐さんです。


 毎度のことながら昼休み。私はカバンの中からミカンを取り出して岸部〇徳の如く姐さんにミカンを差し出しました。残念ですが姐さんは米倉〇子みたいな美人さんではありません。笑顔が素敵な可愛らしい奥さんです(と言えば許されるであろう)。


京「姐さん、ミカンでございます」

姐「ありがと」


 冷静にミカンを受け取ったつもりだと思いますが、小鼻が少し膨らんでいます。姐さんは嬉しいと小鼻が膨らむ癖があります。


京「(エッセイの)出演料でございます」

姐「また京さん、私の行動を面白おかしく盛って書いたやろ!」


 盛って書くなんて失礼な事はしません。面白おかしくも書いていません。


京「いや、在りのままどころか若干削ってる」

姐「も~っ! 盛るどころか削るって何?!」


 実は姐さんの行動って面白おかしすぎるから盛るどころか削ってるくらいなんですよね……。


姐「ホンマにもう……ミカン喰ってる


 すでにミカンは皮が剥かれて実が三分割され、一口目が姐さんの口の中へ入りました。


姐「何?」

京「いや、前に『ミカン一個くらい一瞬で消える』って言ってたでしょ?」


姐「うん……ミカン喰ってるで?」

京「皮を剥く時点で尋常じゃない速さやなって」


 すでにミカンはあと一口残すのみ。


姐「そんな速いかな?」

京「いや、もう無いでしょ?」


 あ、姐さんは最後の三分の一を口に放り込みました。


姐「あ、無くなった」

京「無くなったんじゃなくて食べたんです。ホントに一瞬で消えましたね」


 姐さんとミカンの組み合わせは面白い化学反応を起こします。小説のネタに困った時は姐さんにミカンの類を与えて繋ぎにすることを決定した京でした。


 次は『柚子果汁入りキャンディー』を与えてみようと思います(笑)


姐「私はミカンの果汁を口一杯にしたい」

京「一回『椀子ミカン』してみたいです」

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