怒り狂うオカン

 糖尿病になって食生活が変わった私は野菜を多く食べるようになりました。繊維質が多い食事で血糖値の急上昇を防ぎ空腹感を紛らわしています。となれば出る物も出るわけでして、そりゃあもう朝からドーン! って感じですよ。でもってガスも出ます。我が家では上品に『お屁』と呼んでいます。


 これがまた笑うほどに出るんだ。


 我が家は築四十年の木造家屋。風通しが良いだけでなく隙間風まで入る『断熱何それ美味しいの?』な状態。元々家族六人で住んでいたけれど曾祖母が亡くなり祖母が施設に入った後に亡くなり、兄弟が死にたいくらいに憧れた花の都大東京へ薄っぺらなボストンバック片手に旅立ったのちはやたら部屋が空いてるんで一人二部屋使ってる状態。カクヨムは書斎(って程立派なもんじゃない)で嗜み、寝るのと読書は別室って感じ。


 私の部屋はドアが有るのですが、寝る時は換気の為に開け放ってます。そこで何発も放たれた『お屁』が廊下に放たれるわけです。ある日の午後十時過ぎ、母の部屋から「ぐわぁぁぁぁあ! やりやがったな!」と叫び声が聞こえました。


 普段の母はごく一般のおばちゃんです。夜中に大声で叫ぶなんて滅多に無い事です。


京「オカン、何が有った!」

母「あんた、部屋でお屁をしまくったやろ! あ~臭っ!」


 向かいの部屋は母の寝室、もしも母の部屋のドアが開いていたらお屁はモロに母の部屋に流入するわけです。寒くなって部屋を閉めて暖房を入れるこのシーズン、夏なら家の窓は全開になっていますが冬は閉めてあります。


京「お屁くらいで大騒ぎする?」

母「する!」


 この夜の母は悪臭に悩まされ、なかなか眠れず怒り狂っていたそうです。


 後で聞いたんですが『明日はふて寝して寝坊してやろうか? ご飯は炊けてるから卵かけごはんでも食べて仕事に行けばよいし、弁当は反省させる意味で作らんと困らせてやろうか』と考えていたそうです。


 翌日のお弁当は在りましたけど、おかずは蒲鉾と竹輪、そしてはんぺんと豆腐ハンバーグでした。カロリー不足だったからでしょう、仕事中にガス欠で倒れそうになりました。

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