土佐文旦届く

 夜中にネットオークションを見ていると、とんでもないものに入札したりするもんです。冷静な状態なら入札しないであろうポンコツオートバイやジャンク部品、その他わけの解らん懐かしアニメや映画のDVD……などなど。でもって支払い手続きをペイペイなんかでしてしまうとコンビニへ行くことも無く手続きが終わってしまいます。となれば買ったことも忘れてしまうわけでして……。


母「なんかでっかい箱が届いた! あんたいったい何を買うたんや!」


 某日昼前、我が家に届いたのは『土佐文旦・一〇㎏』でした。サイズは何と5Lの大玉。土佐文旦とは一言で言えば大きなミカンです。グレープフルーツより大きい(と思う)ミカンで、ザクザクとした食感と絶妙な甘酸っぱさの美味しいミカンです。


京「あ~美味しそうやったから買ったんやったなぁ」


 土佐文旦十キロってどのくらいか想像していなかったのですが、十五個くらい入ってたのかな? ミカン箱の中にちょっとしたメロンくらいの大きな柑橘類がゴロゴロと詰まってました。いや、ゴロゴロって言うよりミッシリやったけど。箱の中には生産者からの「お買い上げいただきましてありがとうございます」の手紙や皮の調理法が印刷されたチラシも入っていました。


京「いや、試しに買ったけど、まさかこんなに大量とはなぁ……」


 一日一個食べてとしても二週間分です。早速食べました。中身は外見の割に小さいなって気がします。これは土佐文旦の性質だから仕方が有りません。でも分厚い皮はマーマレードにして食べられるみたい(輸入物の柑橘類の中にはジャム類にしてはいけない物が有る)ですし、実はスッキリしゃっきりした味わいと歯触りで美味しかったです。


 問題はこの大きなミカンである土佐文旦の数です。業者さんの仕入れレベルの量を年老いた両親と私で食べるのです。赤ん坊の頭より大きい実なんですよ。減らないのなんの。


京「さて……これは食べきるまでに腐ったりせんやろか?」

母「買い過ぎや!」

父「これは砂糖漬けするミカンやないな、そのまま食う方が美味い」


 さて、大量の土佐文旦を腐るまでに食べきることはできるのでしょうか?


母「こんな大きいミカンは一日半分ずつやで」

京「はいはい、仕事に行ってる間に食べてもエエで」


 比較的低カロリーらしい土佐文旦ですが、食べすぎはいけません。太るほど食べては糖尿病が悪化してしまいます。だから母に好きなだけ食べてと言いました。


母「こんな大きいミカンを剥いたら手が疲れる」

京「腐るまでに食べ切れるかなぁ……」


 途方に暮れる私ですが、そんな心配を吹っ飛ばす人物は身近に居たのでした。


 次回『職場の姐さん・VS土佐文旦』に続く。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る