職場の姐さん・VS土佐文旦

 ある日大量に届いた高知県名物『土佐文旦』 とどいた量が多すぎて美味しいうちの食べられるか心配になった私は職場の姐さんに相談したのだった。姐さんは柑橘類が大好きな『ミカン大好き女子』である。


 ここで「何歳まで女子なんですか?」とか言わないよーに。京の中では女性は何歳になっても女子です(真顔)


 え? 「アラサ―は?」ですって? そんなもん娘さんです。アラフォーでもお姉さんだ。異論は認めない。まぁそれはさておきましてっと……。


京「姐さん、土佐文旦って食べます?」

姐「はぁ? そんなん食べるに決まってるやん。で、土佐文旦って何?」


 姐さんは来る者は拒まず去る者は追わない人です。何か大量に食べ物を貰えば上手に料理をして余すところなく美味しくいただく料理上手でもあります。そして無類の柑橘類好きでもある彼女が土佐文旦を知らないとは。案外マイナーな柑橘類なのでしょうか?


京「大きなミカンなんですけどね、うっかりネットで入札したら大量に届きまして」

姐「よかろう、ミカンとの戦争クリークだ」


 で、翌日に土佐文旦を三つおすそ分けしました。ミカン好きって凄いよね、京が一日に半分食べるのがやっとな大きい土佐文旦を、丸々一個のペースで食されたそうです。もしも姉さんがドラマ『太陽にほえろ』で刑事役だったらニックネームは『おミカン』になるでしょう。


 土佐文旦は皮が厚くて剥くのが大変なミカンです。中身は案外小さいのですが、それでも食べれば結構なボリュームです。


姐「一日二個くらいやったら食べられるなっ♪ 剥いてくれたら三個くらいいけるかも、もっと無い?」


 追加でもう二個お譲りしました。もうね、文旦の分厚い皮を調理バサミや歯を使って必死に剥いて、いざ剥いてからは力を振り絞って実を割って食べたそうです。姐さんは御主人が単身赴任しているので誰かに皮を剥いてもらう選択肢が有りません。


姐「皮を剥いて、必死になってこんな感じで身を割ってからがお楽しみ―――」


 生クリームたっぷりのパンやケーキ、そして今回の土佐文旦。私は「あの小さいおばちゃんのどこに入るんやろうなぁ……」などと言いながら土佐文旦の皮を刻んで湯がき、苦みと灰汁を抜いて土佐文旦マーマレードを作るのでした。


 追記


 姐さんは持って帰った土佐文旦を娘さんに見せたそうです。


姐「娘に見せたら『何このでっかいミカン!』って大笑いしてたわ、そやから『土佐文旦やん、知らんの?』って言うたった」


 どや顔で土佐文旦を娘に見せる姐さんの姿が目に浮かびます。

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