第58話 契約
ガチャリ……
聴きなれない音が、僕と
「光が……白くなった」
そう、僕が置き去りにされていたそこは、
「兄貴! やったわね!」
「
一目散に駆けつけてきた
「もうっ、だらしないわねぇっ!」
「しょ、しょうがないじゃないか……」
しばらく見つめ合う僕と
「……っと、時間制限があるんだったわね」
「そ、そうだね」
僕は冷や汗をかきながら返す。
「どうやったら出られるのかしら? 兄貴は知らないの?」
「分からない……」
そう答えた時、もうひとりが入室してくる。
「
「
「リフリジェレイター!」
いつかのように氷の矢が
「今回は、やれると思ったのですがね……」
再び矢をつがえながら、
「……ふんっ、そんなものに当たるものですか! それで、急にどうしたの? 私と……やる気なの?」
放たれた二の矢は、肘を上げて背中を少し逸らした
「やはり、私が……お兄様と脱出するのです! そして、
「遊んでる暇なんてないって言うのに……仕方ないわね」
「アースアンカー!」
「どうやら、モンスターを倒し続けてきた私の方に分があるようねっ! あんたが相手してたのは雑魚の
「くっ……速い!」
「このままでは……やられるっ!」
「あんたが言ってたように、プレイヤーがひとりになるのが脱出の条件かもしれないわね! トドメよっ!」
しかし――
ズバーンッ!
「えっ……?」
パリーンッ!
光となって砕け散った
「
「グレートバリアリーフッ!」
[
「何っ!?」
「はっ! たぁっ! とぉっ!」
「無駄だよ、
「何っ! 言ってん! のよっ!」
強がりを見せる
「このまま防御し続ければ、あと1分で制限時間が来て、私は
「くっ! そんなに経ってたなんて……はああっ!」
それでも攻撃の手を緩めない
(これは……確か、
一瞬、僕の頭の中を、妹を自称してきた女の子たちとの記憶が駆け巡る。
(
僕はその銃を拾い上げる。そして、グリップを両手で握り、引き金に指をかけて、砲身の先を防御に徹する
「……やめるんだ」
僕のその言葉と行動に
「ふーん、その武器、使えると思ってるの?」
その口調には余裕が満ち溢れていた。しかし、僕はバリアの向こうに輝く、彼女の瞳に向けて言い放つ。
「もう、終わりにしよう……
[
「……!」
「…………」
光はグレートバリアリーフを貫いた。目の前の眩い光に照らし出された
パリーンッ! ……カランカラン
光となって砕け散った
「兄貴……! な、何があったの? 今、
僕は、その手の中に抱いた銃のフレーバーテキストを読み上げる。
「カノン……光属性の銃、その光は、対象を完全に破壊する……」
「ねえ!
柄にもなく狼狽える
「わからない。だけど、僕が
地震は起こらない。説明の通り、
「それに、あの時
僕が言いかけたその時、散らばった武器と、
「「うわっ!」」
思わずそれを武器を手放す僕と
キーンッ!
耳をつんざく音を立てて、全ての武器が粉々に砕け散った。そして、その色とりどりの粒子たちは、部屋の中央で竜巻のように渦を巻く。それが徐々に収束し、光の渦の中で何かを形成して行く。
「これって……」
「……梯子?」
武器の欠片たちが作り出したのは、いつの間にか天井に空いていた穴に続いている、七色の梯子であった。
「そっか、そういうことね……」
「……ああ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます