第56話 連勝
「
「ふんっ!」
だが、不動の斧による攻撃は、凍結してなお一閃する。距離によるアドバンテージから、
「なんですって……凍結していても動けるというのですかっ!?」
「ああ、そうみたいだね」
「……いくら動けると言っても、走る速度には追いつけないようですわね」
しかし、弓に矢をつがえている時間はない。扉が開くのを待つ時間もない。凍結は間もなく解除される。攻撃している間動き続けられる
「ファイアスターター!」
「ああああああああっ!」
パリーンッ!
「はぁ……はぁ……アースアンカー」
[
「これは……?」
「ハイパーメガランチャー! ……違いますのね」
「緑の部屋ですか……ファイアスターター」
彼女は炎で床を照らし出す。
「ふ、モンスターが出るスイッチはあそこですか。武器を3つも持っていては、相手にするのは9体のモンスターでは済みそうもありませんわね」
炎で照らすことで、床のスイッチを見破れることに気付いた
「さて、後何人倒せばよいのでしょうかね……」
一方、
「この刀一本で何とかなるものね。ポーションも余っちゃうわ」
「
急に
「あら、やっと会えたわね。こんなつまらないゲーム初めてよ。そんなことより、あんたが何者で、どう血迷ったらこんなくだらないことをするのか、聴いてみたかったの……」
「そんなこと言わないで、もっと私と遊ぼうよっ!」
回転しながら剣を振るい接近する
「そんなのこけおどしね。簡単に見切れるわ。その剣は両方に刃がついてるけど、たかが50cmくらいじゃない。80cmはある私の刀の方がリーチが長いのよ。さ、おとなくし私の質問に答えなさい」
「ふふ、話すことなんて……ないよっ!」
「ったく! 人が話をしてあげようっていうのに、こうするしかないわね!」
踊るように攻撃し続ける
「また地震? ってことはやっぱり……時間はあと60分ってところかしらね」
そして、マノリアは――
「また地震か……わしが
「そのようですわね」
「そなたは……誰じゃ?」
「
「ふん、おぬしも兄上の妹候補とやらか。しかし、その首から下げたペンダント、おぬし、ステラソルナのものじゃな?」
マノリアは
「よく、ご存知ですね……」
「ふん、わしの国を陥れた怪しい宗教団体を覚えていないはずがなかろう……」
「そうでしたか……それは大変申し訳ないことを」
「まったく、おぬしらは我が国民を堕落させ、マルセリア王国の侵攻を間接的に手助けしたようなものじゃ。姑息な手を使いおって」
「……それが本当ならば、私はその汚名を返上せねばなりませんね。それでは、正々堂々と戦わせて頂きます」
「ディスチャージャー! グレートバリアリーフ!」
「アースアンカー!」
マノリアは左手の盾で身を守りながら、時折右手の槍による電撃を見舞う。
「ふふふ、この勝負、わしの勝ちじゃな。いくら強力な武器でも、このバリアに防げぬものはない……!」
「なるほど、水の障壁ですか……では」
「ふん、放電が届かぬ距離まで逃げようというのか」
「リフリジェレイター……!」
「グレートバリアリーフッ!」
冷酷無比な氷の矢尻が水鏡のバリアを襲う。しかし、その力は水を氷に変えるだけで、相変わらずダメージを与えられない。
「ふんっ、それだけか!? 行くぞっ!」
しかし、次に飛んできた矢は、マノリアが想定していたものではなかった。
「……ファイアスターターッ!!」
ガシャーン!
「バカな! グレートバリアリーフがっ!」
氷と化したバリアは、熱を加えたことによっていとも容易く砕け散った。そして、マノリアがそれを唖然として見届けたその向こうには、既に
「アースアンカーッ!!」
「グレートバリアリーフッ!」
「ふふ、懐に入ってしまえば、そんなバリア……!」
攻撃判定は既にバリアの内側に達していた。そして、展開されたバリアはアースアンカーの不動の力を妨げることはできなかった。水鏡のバリアの効果は"攻撃判定"を跳ね返すこと。懐に飛び込んだ
「ギャアアアアアアアアアアッ!」
アースアンカーはマノリアの背中に突き刺さり、彼女を地面に叩きつけた。その威力は容赦なく彼女のHPを奪う。二度、三度と振り下ろされるアースアンカー。うつ伏せで地面にめり込んで行く彼女のHPは、無残にも奪い尽くされる。
「ふ、これであとは……やっかいなあの女をなんとかできれば」
パリーンッ!
光となって砕け散ったマノリアがその手にしていた武器、ディスチャージャーとグレートバリアリーフを
「ディスチャージャー、グレートバリアリーフ」
[
[
「これなら……いけるかもしれませんね」
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