第54話 循環
「兄貴、ありがと……」
「上手くいってよかったよ」
「って、なにこれ? 銃?」
[特殊条件「赤の部屋を誰も死なせることなく攻略する」を果たした報酬が出現しました。
「光属性の武器……そんなのあるんだ」
「なにこれ? 名前ったってどこにも書いてないじゃない……ソーラレイ! ……違うみたいね」
「おおっと……!」
「
この時、
「さて、HPが25%回復できるポーションがふたつ……とりあえず、ふたりで分けようか」
「そうね」
ポーションを飲んで回復するふたり。
「しかし、今回は切り抜けられたけど、次赤い部屋に出くわしたら今度こそどちらかが退場するしかなくなるかもしれないね」
「まあ、その時は私が……」
僕は
「ねえ、なんか、分かった気がするんだ。赤い部屋になる条件……」
「……そうなの? ホントに? ……とりあえず、聴かせなさいよ」
「うん。今までふたりはずっとふたりで部屋を渡り歩いてきたんだよね?」
「そうだね。
「そうね」
「その間、モンスターは出てきたけど、赤い部屋になることはなかった。そして、僕と一緒に行動し始めたら、すぐに赤い部屋に出くわした……」
「なるほど、兄貴が居る状態で2人以上のプレイヤーが会うと赤い部屋になるっていうのね?」
「うん」
「では、次に緑の部屋に移動したら、また
「わかったわ。私が別行動を取ればいいのよ」
「
「何? 今更私を妹にしたくなったの? それはそれでいいけど……このゲームの黒幕、あいつとふたりきりで話してみたいのよね」
「あいつって……
「そうよ。なんでこんなくだらないことをしようと思ったのか、問い質してやるわ。だから、あんたたちはふたりで出口を目指しなさいよ」
「
「そうよ。脱出できたら、兄妹にでもなんにでもなればいいじゃない。私はもう……大丈夫だから」
「大丈夫って……何が?」
「とにかく、私より
「そういえば、マノリアと居る時はモンスターは僕を執拗に付け狙ってきた」
「ほらね。そういうことなのよ。だから
「そうか……ボクが、
「あんたの方が腕もいい。そこは悔しいけど、だからこそ任せられるってものよ」
「わかった……
「わかればよろしい」
腰に手を当て強がって見せる
「なによ、そんな顔しないでよ。たかがゲームでしょ? さ、私は放っといて、さっさと行きなさいな」
「いや……
「ん……?」
「ああ、あのこと? もうどうでもいいわ。引き留めても動じない頑固な奴だって、前から知ってたもの」
「……ごめん」
「もう、続きはこのゲームが終わってからにしましょ! あんたが生きるか死ぬかって時にそんなことで時間を取られたくないのよ!」
「わかった……」
僕と
「じゃあ、頼んだわよ」
「ああ、わかったよ、
こうして、
「HP82%……ふぅ……」
僕の方に振り向きながら、VR空間なのに汗を拭う仕草をする
「大丈夫?
「はい。攻撃を妨害されないので
「うーん、
「しっ! ……
僕は
タッタッタッタッタッ……
すると、
「
「でも……それじゃ」
僕は、マノリアとはぐれた時のことを思い出していた。
「いいから早く! 相手が
「やあ、
クスクスと笑いを浮かべながら
「……
「本当の目的?」
「ふふ、これでもう、逃げられない」
「痛っ……!」
踊るようにサーキュレイターを振り回す
「ほらほら、私の剣の能力は循環……その攻撃は止むことを知らない」
じわじわと
「くっ……!」
「うおおおおっ!」
「きゃっ!」
隣の部屋の僕の耳にも響く、「ザクッ!」という音は、
「……やったね……
怯みながら
「……
「ふふふ……そうかな?」
再びサーキュレイターを振るいだした
ズバァン! パリーンッ!
炸裂音のあと、光となって砕け散る
ゴゴゴゴゴ……
そして、間を開けずに起こる地震。
「この地震、
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