第23話 星宮澪織
僕と
「
「うーん、よくわからないけど、スッキリしたのは確かだよ。もうちょっとここに住んで様子をみようじゃないか」
「そ、そうですね」
ピンポーン
朝、玄関のチャイムが鳴った。
「ほ、
「おはようございます。今日は、
「えっと、僕はこれからWEB授業に出なければならなくて……」
「ああっ! そうですよね……すみません。出直してきます」
その時の
「……ああっ、いえ、大丈夫ですよ! 一日くらい休んだって」
「
「いや、お世話になったんだからさ、お礼したいなーって思ってたんだ」
「……私からは何も言えません。主人である
そう言ってプイっと横を向く
「突然のことで申し訳ありません」
「ああ、いえいえ、僕も気晴らしがしたかったところですから」
「それと、お礼だなんて、とんでもないことです。私が今日、
「……なんですか?」
「あの……私、私を……あなたの、
「えっ!?」
僕の目を見る
「どうなんですか? 妹、欲しいんでしょう?」
「そ、そんなことを言った覚えは……それに、
「私、今年の12月24日で18になりますが、まだ17歳です。
確かに、今年の4月に誕生日を迎えた僕は既に18歳、彼女の言う通り、僕がなるなら彼女の兄ということになる――いや、それはダメだ。
「いや、さっきから言ってますけど、僕は妹が欲しい訳じゃないので……」
「だって、ネットで噂になってる、この女……いえ、
「そ、そう言われても」
すると、彼女はその手で僕の手をガッシリと掴む。そして――
ガシャリ
――気付けば僕の手首には手錠がはめられていた。もう片方の輪は既に
「ふふふ……逃がしませんよ……お兄様……!」
愛おしそうに自分の手首の手錠を撫でながら、
「えええぇ……」
突然の出来事に驚きを隠せない僕の手を引き、彼女はズンズンと歩いて行く。僕が連行されたその先は――
「とりあえず、ここでゆっくりお茶でもしながら話し合いましょう」
――駅前の喫茶店だった。
「お兄様、あなたが私のお兄様にならなければならない理由を説明しなければなりませんね」
「……そんなの求めてないけど」
「まあまあ、そう言わずに……」
その時、
「ごゆっくりどうぞ」
「……それでですね、理由なんですけど、あなたが私のお兄様になるべき理由、それはあなたに神様がついているからなのですよ!」
「神様……ですか」
「はい、神様です。私はその神様をずっと探していました」
まずい、
「……信じていないんですね」
「きゅ、急にそんなこと言われても……そういえば、その修道服といい、何かの宗教に入信してるんでしたっけ? それと関係があるんですか? 星明りの導きがなんとかって……」
その言葉を聞いて一瞬黙り込む
「……そうですね。ちゃんと最初から説明しておかなければなりませんね。私はステラソルナという宗教団体に所属しています。物心ついた頃には既にそうなっていました」
「親が信者だったとか?」
「いえ、違います。私に両親は居ません……私の親は私をステラソルナの教会の前に捨てて行ったのでしょう。私はいわゆる孤児なのです」
「そうなんですか……」
思いがけない彼女の告白に、それしか返すことができない僕。
「恐らく私はこの国の者ですらないと思われます……しかし、私を拾った神父は、私に
「じゃあ、
「そうです。この街、星ノ宮から付けられています。そもそも、星ノ宮という地名自体が、ステラソルナ由来のものなのです。海外から伝来したステラソルナは、まずはこの地に拠点を築きました。だから星ノ宮……そして今も、この土地はステラソルナの活動の拠点のひとつとなっています。私はその教会で育ったのです。ここからすぐ近くなんですよ」
「じゃあ、ずっとひとりだったんですね」
「……そうとも言えます」
「だから、僕の妹になりたいということなのですか?」
「いえ、そうでは……ちょっと待ってください」
その時、
「……すみません、ちょっと用事が」
「ああ、そうですか。では……」
僕にとってそれは逃げ出すための恰好のチャンスであった。
「一緒に来てください」
僕は手錠で繋がれた自分の手を見つめながらため息を漏らす。
「……はい」
「こんにちは、オカルトバスターです」
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