第22話 オカルトバスター
「……オカルト……バスター?」
僕が自分の心と、この部屋にかかっているであろう呪いと決別するために検索した結果には、ネット上で活躍しているという、オカルトバスターを名乗る
「わかりました。そちらのご都合のよろしい日にお伺いします。一応断っておきますが、お金を頂くと言うことは一切ございませんのでご安心くださいませ」
プロフィール写真には、紺色のオーソドックスな修道服を着た、金髪碧眼の少女が微笑んでいた。よく読んでみると、オカルトバスターは通称で、
「こんにちは、私はオカルトバスターの
アパートの玄関口で丁寧に挨拶をする
「はい。実は、この部屋の壁なのですが……」
「ほう、これは……大したものですね。上がってもよろしいですか?」
「はい、どうぞ、ご覧ください」
興味深そうな顔で辺りを見回しながら玄関の敷居を跨ぐ
「なるほど……これをあなたたちが」
「はい……」
控えめに答える
パシャッ!
そして、どこから取り出したのか、スマートフォンで部屋の様子を撮影し始めたのであった。
「ちょっと……何をしてるんですか?」
「ふふふ、こんな珍しい物、写真に収めておかないと損じゃないですか。あははっ」
屈託の無い笑顔を浮かべながら、更に部屋を撮影する
「それで、あなたたちはこれを無意識のうちに描いていたということなのですね?」
「はい……未だに自分でも信じられませんが……」
「はい、私も信じられませんが、証拠が残っておりますので」
「ふむ……人間の心と言うのは自分でも制御することができないもの……それが何を引き起こしたとしても、何の不思議もありません」
「と、言いますと……?」
「大事なのは、自分の心にどうやって折り合いをつけるか、そのことだけです」
「ちょっと待ってください、このアパートには、何か不思議な力が働いているのでは?」
「全ては人の心が見せる幻ですよ……」
「へ……?」
「……いえ、なんでもありません。私の肩書を見なかったんですか?」
「オカルトバスター?」
「そう、建物が力を発揮して人を狂わせる……そんなオカルトあり得ません」
「そ、そうなんですか?」
「ええ、ですから、問題はあなたたちの中に存在します。何があったのか、お聞かせ願えますか?」
「えっと、僕の創作ノートが……」
「それはご依頼を受ける時に聴きました。最近、あなたたちの周りで起こった変化をお聞きしているのです」
「はい、わかりました。お話しいたします」
僕と
「そうですか。それなら簡単なことですよ。このキャラクターは恐らく、
「このキャラクターを描いていた、僕が中学2年生の頃は、妹は僕に対して冷たい態度を取っていると感じていました」
「ふふ、やっぱり、その想いがこの現象を引き起こした。それだけのことのようですね」
「では、どうすれば……?」
「
「そ、それだけのことですか? 業者さんに頼んで壁を修繕すればよろしいのですか?」
「いえ、違います。文字通り、あなたのその手でこの壁の絵を消し、傷を修繕するのです」
「そ、そんなことで?」
「ええ。そちらの……
「は、はい……でも、それだけで解決するのでしょうか?」
「はい、私も協力致しますから、早速作業に取り掛かりましょう」
そうして僕と
「
「ただいま」
「では、皆さん準備はよろしいですか?」
僕と
「さて……こんなものでしょうか」
2時間ほど経過して、作業は完了した。それは、よく見ると傷跡が気になるものの、元の土壁と遜色のない出来に仕上がっていた。
「これで……良かったのでしょうか?」
「はい、こうして自分の身体を使うことで心の汚れも洗い流せる。そう思いませんか?」
「そ、そうですかね……」
僕は相変わらず笑顔の
「はい、そうです。それでは最後に……」
「……?」
「太陽と月の狭間を征く者に、星明りの導きを……」
深織さんは瞼を閉じ少し頭を下げ、両手を合わせて祈りを捧げているようだった。
「それは……どういった意味で」
「……ああ、これは、私が所属しているステラソルナに伝わるおまじないみたいなものです。人の心に夜が訪れても星の明かりが導いてくれると、そんなような意味です。あまりお気になさらずに」
「はい、ともかく……今日はありがとうございました」
「いえ、私のような者が少しでもあなたたちの力になれれば、それだけで光栄なことでございます。それでは私はこれで……」
「しかし、これで
「……妹さんのお名前……
「は、はい、そうですけど」
「そうですか……」
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