16 金曜日


私たちはそこまで広くない図書館にやってきた。人の能力について調べなければならなかった。特に、私自身の能力に。

「おばあちゃん、何だか嫌な予感がするよ」

何だか耳のあたりが、ざわざわするのだ。

「大丈夫よ、あの子たちもここまでは……」

と、言いかけた次の瞬間、炎が目の前をチラついた。振り返った頃にはもう、遅かった。

「アリスちゃん、おはよー」

エリザベスが目の前にいた。ランスロットも同じく、私の目の前に現れた。

氷の刃が私の前につきだされる。

おばあちゃんが私を守るように、背中に隠す。

「お兄ちゃんお姉ちゃん、話があるの!」

そう叫ぶが、声は二人に届いてから抹殺された。

「大丈夫だよアリスちゃん、痛くないように殺してあげるから」

「そうそう、一緒に死の」

二人が迫ってくる。おばあちゃんの目が本気になる。棘が出現する。それは、流れるように迅速に進められた。

「おっと、もう同じ手は食わないよ」

兄が言う。

「お願い、話を聞いて!」

「何にも心配はいらないからね」

兄が駆けてくる。火が、彼の手でメラメラと燃えている。兄はおばあちゃんの攻撃を最もたやすく避け続ける。棘が彼を追う。しかし間に合わない。

「アリスちゃあああん」

次に追ってきたのは姉の氷だった。炎と氷が一緒になって私に襲いかかってくる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る