第3話
「それで私に話をしに来たというわけね。」
「あぁ、俺の故郷は港街でな。お前達の能力が必要なんだ。」
シルクが来たのは
魚人は名前の通り魚に近い種族であるが、魔魚人は哺乳類に近い種族であり卵ではなく子供を産む等の特徴を持つ。
つまり、魚人はサメであり、魔魚人はイルカというわけである。
この国の国土はフィクサー大陸とグッテン連合王国間にある島々であり、シルクが来ているのはその中で常に海に沈んでいる島の城に来ていた。
いつもの通り女王に会いに来ていた。
「それで私達に何をして欲しいの?貴方の頼みだから。多少無茶でも叶えるわよ。」
「それは助かる。ハイには港からここまで安全に航行出来る為の魔物討伐をして欲しいんだ。」
「・・・・それ、本当に言っているの?」
予想よりあまりに無茶な要望にハイは怪訝そうに言った。
陸、海、空、全ての航路としてまず初めに行うのは魔物が航行者を襲わない為にその周辺の魔物を退治してそこは人間の領土だと主張しないといけないのである。
その上で一番難しいのは海であった。
海の場合、海面から海底まで魔物を退治しないといけない上に謎が世界で一番多いと言われる海ではまだ見ぬ魔物や凶悪な魔物も多量にいる事が多い。
だから、完全に制圧した海路は世界でも3本だけであり、陸路と空路では圧倒的に形が違っていた。
シルクはそんな無茶をハイにお願いしているのである。
「勿論、うちの商会で全面サポートする。」
「・・・・・・・・」
ハイは黙りながら長考していた。
安請け合いする訳にはいかない案件である。
「それだけじゃない。俺の最高傑作を二つ渡す。」
「!!それは・・・本当?」
シルク製の魔剣、聖剣、魔道具、杖など様々な武具、道具はどれも質が良い事で有名である。
ただ、本名を使わず、制作者として世に出ていない為、その作品がシルクが作っている事は古参か、親しい人物しか知られていない情報であり、勿論、ハイはその事を知っている。
シルクの最高傑作となると誰もが国宝級であり、世界の宝と言っても過言どころではない代物なのである。
それが二つも手に入るなんて国力が倍になったと言っても良いほどだった。
この難しい依頼としても美味しい報酬なのだ。
「・・・・・後一つ追加して良い。」
「流石に強欲じゃないか?」
シルクはハイの発言から二つではなく三つにしてくれという交渉だと思ったのだが、そうじゃないとハイは首を振った。
「私が欲しいのはね。貴方との子よ。」
舌舐めずりするハイにシルクは悪寒がした。
「相変わらずだな。別に俺なんかより優秀でイケメンなんて幾らでもいるだろうに悪趣味め。」
「世界最高の
自分の昔の姿を見た事があるような発言から誰かが話したなとシルクは誰だよと愚痴った。
何か頼むたびにこの頼みをする為、出来る限り断る理由を減らさないようにしていたのにその手段を減らすなと思っていた。
「・・・・・・ふぅ・・分かった。それで手を打とう。」
「あら?ずっと私の交尾を断ってきたのに今回はあっさりしているのね。」
長年の願いが叶ったのにハイは不満そうにしていた。
シルクは何が不満なんだよと首を傾げた。
「だって、私のこの容姿や才に惚れた訳じゃないって・・・なんか貴方の親友の友情の方が上って貶されたような気分なのよ。」
ハイは自分の容姿と才に絶対的な自信を持ち、それは自他共に認めるとこではあるが、それを持ってしても自分との交尾を断るシルクを必ず落としてやると最初に断られた時からずっと容姿と才をより一層磨いてきたのである。
それなのに念願の交尾が自分ではなく親友のためという事が気に入らないのである。
「やっぱり良いわ。萎えたわ。やっぱり貴方が泣きついて頼んでくるまで待つ事にするわ。」
妖艶な笑みを浮かべながらシルクを見ていた。
そんなハイを見てシルクは内心そうなると思ったと考えていた。
ハイが断る事を予想していたのである。
毎回、自分の容姿で落としてみせると言っているのである。
会う度に魅力に磨かれているのだが、シルクは花より団子派な為、あまり性欲は強くないのである。
「今度こそ貴方の中の性獣を今度こそ起こしてみせるわ。」
「いねぇよ。そんな獣。」
「あら?もう帰るの?泊まって行きなさいよ。」
「気分が変わって襲われて嫌だからな。それにまだやる事があるんだ。次は全ての準備を終わらせてくるよ。」
シルクはそう言うと城を去って行った。
そんなシルクの乗る船を見送りながらハイは隠していた興奮を爆発させていた。
「あぁ!!良い!!!!シルク!貴方は見るたびにに美味しくなっていくわね!!!負けない!!!!今度こそ貴方を美味しく頂くわ!!!!!!!」
高らかに興奮するハイを見ながら配下の者達はまた何人か今日死ぬなと達観した目で見ていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます