第3章 - 能力適性検査という名のクラス分け


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〜灯方高校 1F・検査室〜

「これから能力適性検査を行いますのでこの人の指示に従ってください。」

「このボックス型の機械の中に入って、服を脱いでくださーい。そして中の画面の前に立つと検査が開始しますよー」

「え?全部脱ぐんですか?」

「はい、全部脱ぎますー」

「下着も?」

「はい」

「ズボンも?」

「はい」

「アレも?」

「アレがなんか分かりませんがもちろんです!いわゆる!!!!!」

「そこ強調する?」

「大丈夫ですよ!覗き見してる人が居たら即減点です!てか犯罪です!」

「そういうことじゃ...」

「あーもう完全完璧に外からは見えないので安心してください!」


なんていうやり取りを回想していたら、いよいよ始まった。




『能力適性検査を開始します。』


『1年・明智卓也

 情報①親 - 父:運送業者、母:経営コンサルタント - 5,600 XP

 情報②中学校の成績 - 国語31 数学27 社会45 理科35 英語39 副教科48 - 22,500 XP

 情報③実力試験 - 国語72 数学61 社会94 理科70 英語76 合計368 - 7,360 XP

 情報④性格 - 積極性+4 倫理+2 効率±0 コミュニケーション能力+7 社会的価値+10 - 3,300 XP

 以上、結果38,760 XP、27 レベル、晦冥クラスです。』


「うわ...あんな感じなんだ...初手ワースト2は雲行き怪しくなるぞ...」

「私...自信が...無くなってきた...」


 確かに。この検査は自分たちが思っているほど厳しい。しかも中学校の成績の影響が大きい。これは大多数の人が後悔するだろう。


 とうとう零也の番になった。


『1年・副島零也

 情報①親 - 父:宇宙開発企業社長、母:宇宙開発企業天体観測実験科科長 - 96,000 XP』

「え?嘘!?」

『情報②中学校の成績 - 国語0 数学0 社会0 理科0 英語0 副教科0 - 0 XP』

「0って...まさか中学校行っていなかったのか?」

『情報③実力試験 - 国語92 数学95 社会92 理科100 英語94 合計473 - 94,600 XP

 情報④性格 - 積極性-2 倫理±0 効率+7 コミュニケーション能力-4 社会的価値+500 - 100,100 XP

 以上、結果290,700 XP、76 レベル、暐曄クラスです。』


零也「恥ずかしい...」

 今まで143人が地味な結果を出してきた中、ずば抜けてしまい、一瞬で無数の目が集まっている。死にそう。

「やばいよ...あいつ。ただ何も考えず酸素吸って二酸化炭素吐くだけの人かと...」

「皆中学校の成績がメインだったのにほぼ全てにおいて秀才じゃねえか!」

「最早中学校行ってないんだけど...」

 数々の驚きや感嘆、嘆息の声が聞こえる。それだけに零也は他の人とは違った。入学初日でIクラス以上に行ったのは灯方高17年の中で僅か少数しか居ない。


『...以上、結果257,300 XP、71 レベル、暐曄クラスです。』


 騒めきの中、又もや耳を疑う機械音声が聞こえた。

??「ぬおっ。何だこの数字。すご。」

 そう、小学生の様な感想を小学生の様な柔らかい声で言ったのは同入学生、華坂はなさかよもぎである。

 零也に次ぎ突飛的な数字を叩き出した蓬は、彼女自身は画面を見てぼーっとしているが零也は少し気になって彼女に近付いた。

零也「とても凄いね。蓬さん.....」

蓬 「ん。ありがとうございます...でも零也さんの方がXP高くて凄いです...」

「......。」

 会 話 終 了 。

 零也のコミュニケーション能力の低さがここで発揮されてしまった。

零也「やっぱり自分の性に合わないことはしてはいけないな...」

「...積極性 +3......倫理 +600!?」

 生徒の1人が声を裏返した。咄嗟とっさに皆が目を画面へ向ける。

零也「本当だ...」

蓬 「今日から高校生だからいつもより早く家を出たんですよ!」

零也「...?何時に出たの?」

蓬 「5時30分です!」

零也「ご...」

 なんとなく察した。これが倫理に直結するかは分からないが、とにかく彼女は困っている人が居たら絶対に見捨てられないタイプだ。恐らく、通学路で困っている人が視界に入ったら即手伝い、結果いつも遅刻しそうになるということでは無いだろうか。てか、そもそもそんなに困っている人が居るのか。

蓬 「でも遅刻はそんなにしてないから結果all rightです〜」

零也「だね。」


「以上で500名の能力適性検査を終了します。」



   7


書記長「...失礼します。」

迦楼羅「歌菜かなさんお疲れ様です。どうでした?」

歌菜 「本日の能力適性検査はIクラス2名、Gクラス11名、Kクラス425名、Aクラス62名でした。」

迦楼羅「Iクラスは今年も2人ですか...どうやって生きたら入学初日であんなレベルになるんでしょう...」

歌菜 「Iクラスの内1名は中学校は受けていないという噂が浮上して来ています。」

迦楼羅「......興味深いですね。

    これからの活躍が楽しみです。」



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【資料】

春宵暦147年4月10日 国立灯方高等学校

全校生徒 2,818 名

Sクラス 1 名

Cクラス 48 名

Iクラス 305 名(+2 名)

Gクラス 1,452 名(+11 名)

Kクラス 451 名(+425 名)

Aクラス 561 名(+62 名)


生徒最高レベル 194 レベル、1,896,152 XP


クラス別偏差値

全校生徒平均 53(-1)

Sクラス 75↑(±0)

Cクラス 73(±0)

Iクラス 73(+1)

Gクラス 52(+2)

Kクラス 54(-3)

Aクラス 42(-1)


クラス別社会貢献度(新入生を除く)

学校平均 XI

Sクラス XXXI

Cクラス XVI

Iクラス XIV

Gクラス VIII

Kクラス V

Aクラス II

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