第8話 覇王の後悔

Side???


 とある寝室に一人の女性がいた。

その女性は自分の体を惜しげもなく鏡の前に曝け出している。


と、そこにコンコンとノック音がした。


「入れ」


 そう凛とした声が響いた。


「失礼します」


 そう言って部屋に入ってきたのはメイド服を着た長身の女性だった。先程の彼女も長身だったが彼女はさらに高い。身長は170後半といったところだろう。


「お嬢様、旦那様から言伝を預かっております」


「父上から?」


「はい」


「父上は何て?」


「お嬢様の婚約者が決まったと」


「そうか………それで相手は?」


「───────────です」


「ああ彼か」


「はい」


「ふふ楽しくなりそうだ」


 そう微笑み夜空を見上げた。自分の名前と同じ夜空には満月が輝いていた。




Side亮太


 夢を見ていた。自分がかつて覇王と名乗っていたころの夢だ。毎日毎日戦場を駆け巡り圧倒的な力で敵を屠り全身に血を浴び続けた。そして俺は何時からか気がついたら独りになっていた。配下たちはほぼ全て“ヤツ”の軍門に下った。あの一人では何もできない臆病者に一人また一人と我が軍から抜け出した。だが俺はそれでも戦った。理由は二つほどある。

 一つは俺はそれでも問題ないの考えていたからだ。まあ、今となっては恥ずかしいことだが。

 そしてもう一つは彼女を守りたかったからだ。あの誰よりも美しく儚い純黒の美姫そんな彼女にもう一度会いたい。結局は守り切れなかったが今度こそは守り抜いてみせる。

 

 なあ、お前は今何処に居るんだ?


 ───────




「はっ………やはり夢か」


「はあ……やれやれ本当に情けないな俺は………」


「俺を愛することなど無いというのに女々しいな俺」


「「貴方は一軍の将ではありません。血に飢えた化け物です」かー」


 かつて俺は彼女にそう酷評された。


「まあ、そうだな。その通りだ。」


「俺では彼女を幸せにすることができなかったから今世ではどうか幸せになってくれ」


 ───────虞美人─────────


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ウチの学園にはどうやら女神様達がいるようだ 影山阿輝 @1181027210

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