第5話 学園にてその②
side亮太
ーーー昼休み
「ふあぁ……ようやく昼か……」
欠伸をしながら呟く。
「よ!」
「おつ~」
と、徹と一樹が話しかけて来た。
「疲れた……」
「ハハハ、まあしょうがないぜ」
「たしかに」
「はあ……食堂にでも行くか」
席を立ち上がり教室から出るため歩き出した。
「おう!」
「うん!」
二人と一緒に食堂に向かおうとした時。
「亮太くん!」
名前を呼ばれたから振り返ると美由紀がいた。
「どうした美由紀」
そう聞くと。
「一緒にご飯食べない?」
「別に構わないが」
「本当!?」
「ああ」
「やった!」
と嬉しそうに笑った。
「じゃ、行くぞ」
「うん!」
そう返事をし俺の隣に近寄り肩を並べ食堂に歩き出した。
「クッソ!」
「羨ましい!」
と、うしろから怨嗟の声が聞こえてきた気がするが無視しておこう。
ーーー食堂
「お前らは何にするんだ?」
そう聞くと。
「俺は、カレーうどんだな!」
「焼きうどんかな?」
「徹がカレーうどんで一樹が焼きうどんか」
「美由紀は決まったか?」
「う~ん……じゃあカルボナーラで!」
「カルボナーラか」
「亮太くんはどうするの?」
「俺か?そうだな……無難でラーメンにするか」
メニューが決まったので食券を買い食堂のおばちゃんに渡す。
「カレーうどんと焼きうどんにカルボナーラ、ラーメンだね」
「「「「はい」」」」
「分かったよ。少し待ってな!」
そう言ってブザーを渡してきた。
「じゃあ、席はどうする?」
俺はブザーを受け取り三人に席をどうするかを聞いた。
「ああ……あそこでいいんじゃね?」
と食堂の右端にあるテーブルを指さした。
「あそこでいいか」
「いいよ」
「うん」
「よし!行くか」
そう言い徹が先陣を切った。
「おい!はあ……」
「いつものことでしょ亮太」
「あっははは……」
「はあ……行くか」
「「うん」」
右端のテーブルに向かい席に着いた。
「………それにしても見られすぎじゃね?」
先ほどからずっと視線を感じるので周囲を見回すと沢山の生徒がこちらを見てなにやらこそこそと喋っている。
「まあ、どうせ天城さんだろ?」
「うん、多分そうだと思う」
「うっ……ごめんなさい」
美由紀が申し訳なさそうに謝る。
「気にすんな」
俺が美由紀にそう言いと。
「そうだぜ天城さん!」
「うん天城さんは悪くないよ!」
徹と一樹がそう言い美由紀を励ました。
「でも……」
「美由紀」
「え、亮太くん?」
「フン、何処の馬の骨かも分からぬ奴らなど放っておけ」
「亮太くん……」
「大事なのはお前の意思だ」
「私の意思?」
「ああ、お前はお前なのだから自分の思うままに行動すれば良い」
「………ありがとう亮太くん」
「フン、大したことはしていない」
「ふふっ」
俺がそう言うと微笑む美由紀。
「何だか昔に戻ったみたい」
「昔?」
「うん、中学生の時」
「中学生か……」
「うん、あの時はさっきの口調と同じように尊大な性格と口調だったから」
「……そうか」
(懐かしいな……)
「だから、ちょっと思い出しちゃった」
と微笑みながらそう言った。
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