第4話 学園にてその①

side亮太


 あれから三日が過ぎた。

 あの日から美那と一緒に楓が夜来るようになった。だが、秋葉とはあれ以来まともに会話をしてない。会話をしても「そう」「へえ」「分かったわ」くらいだ。


「おっす!」

「ああ、徹か」

「よお、元気がないがどうした?」

「元気がないのはいつものことだ、ほっとけ」

「あははは、相変わらずだね亮太は」

「ああ、一樹か」

「うん、お早う」

「ああ」

「よう一樹!」

「うん、お早う徹」

 此奴の名は遠藤一樹黒髪眼鏡のいかにも頭が良さそうな男だ。



ガラガラガラ


と扉が開いた。


「皆さんお早うございます!」

 そこに居たのは天城美由紀。七大女神の一人で太陽の女神と称される女子生徒だ。

 秋葉と同じ黒髪を腰まで伸ばし銀の瞳は大きく、手足がスラッとしている美少女だ。胸は大きくはないが小さいわけでもない、ちょうどいいくらいだ。そして頭に雪結晶の髪飾りを付けている。

「お早う美由紀!」

「美由紀お早う」

「て、天城さんお早う」

 とクラスメートに挨拶されていた。

「はい、お早うございます!」

 と笑顔で返した。

「「「「「「「「グフッ!」」」」」」」」

 とクラスの男子がダメージを受けていた。

「ってお前らもか」

 どうやら徹と一樹もダメージを受けていたようだ。

「当たり前だろ?」

 そうサムズアップしながら言った。

「そうなのか?」

 と一樹に聞いたら。

「うん」

 と肯定してサムズアップした。

「……まじで?」

(俺がおかしいのか?)

 そう俺が思っていると美由紀がこっちに近づいて来た。

「て、天城さん!?」

「な、何か!?」

(おい、ビビりすぎだ)

「お早うございます三上くん、遠藤くん」

「「は、はいお早うございます!」」

 と息ぴったりに返事をし深々とお辞儀をした。

「はあ……大袈裟すぎだろ」

 二人の様子に呆れていると。

「ふふっお早うございます亮太くん!」

 そう俺にも挨拶してきた。

「………ああ、お早う天城」

 俺がそう返すと、不満そうな表情で見てきた。

「どうした天城」

(俺がなんかしたのか………いやむしろありすぎて分からなくなるくらいだ)

「どうして天城って呼ぶんですか?」

「へ?」

「昔みたいに美由紀と呼んで下さい」

 膨れっ面をして言った。

「………美由紀」

「はい!」

 と嬉しそうに満面の笑みで答えた。

「それにしてもまだその髪飾り付けてたんだな」

「はい、だって亮太くんが初めてくれた誕生日プレゼントですから」

「あの~」

「はい、どうしましたか三上くん?」

「天城さんは亮太とどういう関係で?」

「はい、私と亮太くんは中学生の時に交際していました」

(……ああ、言っちまった)

「「「「「「「「「えぇぇぇぇぇぇぇーーーー!!!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」」

「うっさ!」

「亮太!」

「何だ徹」

「今の本当なのか!?」

「ああ」

「でも何で別れたの?」

 と一樹が聞いていた。

「ああ、それはな俺が生徒指導を受けたから」

「「生徒指導?」」

「ああ」

「お前何をやらかしたんだ?」

「別に三十人の不良を血祭りにして病院に送ってやっただけだ」

「何で?」

「それは……」

「私のせいなんです」

「天城さん?」

「私が……」

「はあ……何度も言うがお前のせいじゃない」

「だって……」

「ん、どういうこと?」

「私が三年前に不良に襲われたんです」

「そこを発見した俺がボコボコにした」

「「なるほど」」

「でも生徒指導を受けた奴と付き合っていたらなんか言われかねない」

「だから別れたのか」

「ああ」

「私は別に良かったのに」

「俺が良くないの」

「それじゃ、天城さんは今でも……」

「はい、私は亮太くんが大好きです!」

「「「「「「「「「ちっくしょぉぉぉーーー!!!!!!」」」」」」」」」

 とクラスの男子が騒いでいる。

「それに亮太くん変わりましたよね」

「何が?」

「昔はもっと尊大で王様のような性格だったのに」

「え、そうなの?」

「はい」

「本当なの亮太?」

「ああ、たしかにそんなんだった」

「あの頃の亮太くんは凄く格好良くて優しかったです。ああ、今でも充分格好良くて優しいですよ!?」

「ああそうかい」

「でも亮太くんどうしていつまで経ってもよりを戻してくれないんです!」

「そりゃ母さんに婚約者を宛がわれたからな」

「へ!?」

「は!?」

「まじ!?」

「ああ、まじで」

「誰ですか……!?」

「ああ……楓っていう人」

「何時からですか!?」

「三日前から」

「つい最近じゃないですか!?」

「まあな」

「むう……」

「おお~い席に着けホームルームを始める」

「だ、そうだ早く席に着けよ」

「分かりました」

 そう席に戻っていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る