第2話 平凡な学園生活

 一日前

 俺は普通に学園に登校し自分の教室にある席に座った。

「よっ!」

 と、とある男子生徒が話しかけてきた。

「ああ、お早う徹」

  此奴の名は三上徹。茶髪のイケメンで中学時代からの親友だ。

「相変わらず元気がねーな」

「ほっとけ」

 ガラガラガラと扉が開く音が聞こえたので視線を向けると。

「おお、氷の女神様じゃねーか!」

 徹がめちゃくちゃ興奮しだした。

 氷の女神、香坂秋葉。漆黒の艶やかな髪を腰まで伸ばし、キリッとしたアメジストの瞳。スラリと長い手足にスタイル抜群の絶世の美少女である。

「おい徹」

「ああ?」

「お前あいつの事好きなのか?」

 俺はそう徹に聞いてみた。

「ああ」

 そう徹は肯定した。

「何故?」

「あの冷たさがいいんだよ!」

「……マゾか?」

「ちげーよ!そんな塵を見るような目で見るな!」

「じゃあ何だよ」

「いや、彼女って普段氷のように冷たいけどさ……」

「ああ」

「付き合いだしたらデレデレになるんじゃねーかな!?」

「知らん」

「はあ……お前彼女と付き合いたくないのかよ?」

「まあ、彼女はたしかに美少女だが俺には高嶺の花すぎて無理だ」

「まあ、たしかにそうだわな……」

「ああ、別の人にしておけ」

「おおい、席に着け」

 とそうしている間に担任が来たようだ。





ーーー放課後


「なあ亮太、一緒に帰らねー?」

「ああ、徹かいいぞ」

「おう、なあ今日はマックドナルドに行こうぜ」

「ああ、行くか」

「おう!」

 そう俺達は教室を出て昇降口に向かった。

「ねえ……」

靴を履き替えている時に声が聞こえた。

(まあ、俺じゃないだろう)

 そう判断して靴を履き終え帰ろうとすると。

「ねえ向井くん!」

 と名前を呼ばれた。

(何だ俺を呼んでたのか)

 そう思いながら振り返ると、そこには。

「はあ、やっと気がついたのね」

 そう溜息を吐く氷の女神がいた。

「ああ?何のようだ香坂」

「ちょっといいかしら?」

「断る」

「ええ!?」

 と可愛らしい声が香坂から聞こえた。

「ど、どうしてかしら?」

 動揺しながら聞いてくる香坂。

「これからマックドナルドに行くからそんな時間はない」

「ええ……?」

「それに……」

「それに?」

「あんた目立つから一緒に居るとこっちまで目立つ」

 ざわざわと周囲が騒いでいる。

「………」

「それじゃ」

 そう言って昇降口から出て行く。

「お、おい待てよ!?」

 呆気にとられてた徹が追いかけた。

「………」

 残されたのは呆然と立っている氷の女神だけだった。






「お、おい亮太」

「ん?何だよ」

「お前さすがにあれはねーだろ」

「そう?」

「いや……お前なー」

「それにしても何のようだったんだ?」

「さあな……つか気になるんだったら話しを聞けば良かったろ!?」

「いや俺のような普通の高校生に女神様はキツイって」

「はあ……」

 そう話しながらマックドナルドに着き入っていった。





ーーー自宅にて


 

「ただいま」

「ああ、お帰りお兄ちゃん」

 家に帰ると妹の美那がいた。

 美那は母親譲りの茶髪とキリッとした翡翠の瞳にスラリとしたモデル体型の美少女で一つ下の龍崎学園の一年生だ。

「ああ、お兄ちゃん」

「ん?」

「さっきお爺ちゃんから電話があったよ」

「爺から?」

「うん、明日本家に来いってさ」

「俺一人で?」

「うん」

「ああ、分かった」

(一体何のようだ?)




ーーーとある一家にて




「どうだった?」

「駄目、全然話せなかった」

「……そう」

「ごめんなさい」

「謝る必要はないよ」

「……でも」

「……このままじゃ私たち」

「……姉さん」

「……大丈夫よ秋葉。いざとなったらお姉ちゃんが守ってあげるから」

「……姉さん?」

「明日から私たちは婚約者に……」

「……ええでも」

「分かっているわ。婚約者とは名ばかりの奴隷だってことは」

「……」

「それでもやるしかないのよ……お母さん達の為にも」

「……ええ」

「ははっ明日から奴隷かあ……」

「………」

「優しいご主人様だといいけど……」

「…………ええ」

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