最終話 始まり

もう何度目だろうか、また、助けることは出来なかった、今私の手の中で彼女の体から血が引いていくのが分かる。

無限ともよべるような今日を経験した私、それでも、友人を助けることは出来なかった。

ある時は鉄骨で圧死、トラックにより轢き殺され、通り魔、転落死、下校中に起こった道を変えても、帰る人数を変えても無駄だった……。


***


今私は初めてループを経験する前時に訪れた神社に来ていた、私は毎回ここに来ては、ゲームのリセットボタンを押すかのようにループを繰り返した。


「疲れた……もうこのループを終わりにしたい!」

私は、そう言った、もう友人の事なんてどうでも言い、人の運命を変えるのは本当はおこがましい事だと、ループを経て分かったことだ。


その瞬間、私はとてつもない眠気に襲われ、そのまま気をを失った。


***


「聞いてよ聞いてよ!」

その声によって私は目を覚まし、声の主は友人だった。

(あれ?)

私は何か違和感を感じた、いつもは自分の部屋で起きるはずなのに今回は学校からだった。

「聞いてる?」

私が、思考を巡らさせていると、友人がぐいぐいと来ていたので「ごめん、聞いてなかった」と返した。

「もう、仕方ないはねもう一度話すわよ」


友人はそう言うと、今日見た夢の話をし始めた。

その夢は、友人が私の目の前で鉄骨の下敷きになるというものだった。


私は、それを聞いて、その夢は正夢だ、私が何度も何度も回避させたいと願い叶えることが出来なかったもの。


そう思っていると、私は彼女に一つの質問をした、

「ねぇ、もしよ、私が死んだあと、その死を回避するために何度も今日を繰り返したら貴女はどうする?」

高校生になって、こんな質問するのはどうかと思ったが、何故か聞きたいと言う気持ちになった。


「死んでも、貴女を助けるために繰り返すわよ」

友人は、そう言い笑顔で返してきた。


***


私は、あの笑顔にどういう顔をしていたのだろうか、友人の自信ありげのあの返しに私はどういう顔をしたのだろうか。


時間は、既に下校時間は、まもなく友人は死ぬ。


いつもの帰り道、ビルが立ち並んだその道を帰っていた、彼女は私の前を歩いていた。


(あぁ、あのビルだ)

もうすぐ、鉄骨が落ちてくるビルの前だ。


そう思い、ビルの前に来た私はふと手を前に出した、そして友人を押し倒した。


その瞬間、私は上空を見た、鉄骨が落ちてくる、友人に、そう思った。

だが、よく見ると鉄骨は私の方に落ちてきていた。


私は悟り、こう思った、

「これで、終わる」



そのまま、鉄骨の下敷きになり『ぐしゃり』という音が聴こえた。


私はそのまま鉄骨の下敷きになった、そのせいか、体は熱くなっていた、体を動かそうもせいぜい動いたのが右手だけだった、その右手をお腹のところを擦ろうとした、すると、『がり』と何かに当たるのを感じた、それを擦ってみるとそれはとても固かった。

その瞬間、私の五感が覚醒したかのように目は見開き、意識がはっきりした、そして私は腹部を確認した。

そこには、あったのは背部から腹部にかけて貫通した鉄骨があった。

それを見てしまった私は、背部と腹部に猛烈な痛みを感じ始めたと思ったら、一瞬で痛みは引き始めたのを境に私は体がどんどん冷えていくのを感じた。


「あぁここまでか」


そう呟いた時、走馬灯のように友人の死がフラッシュバックし、彼女も同じ感覚に陥っていたのかと思い、最後に自分が願った彼女の生きる道が、「貴女が生きる方法は私が死ぬことだったのね」そう最後に呟いて私は目の前がブラックアウトした。











***

「あぁ」

最悪だ嫌な夢を見た……

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未来の無い子 クラットス @schrott

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