第5話、『ボコボ〇りんっ』はギャグ漫画としてなら読める。
前書きーーーーーーーーーーー
本日の献立は
・男の腹パン 骨折を添えて
・顔面の叩き 流血トッピング付き
・指折り 笑顔の花を求めて
・和■宣言 暴力による強迫風味
です。
本文ーーーーーーーーーーー
★☆☆
「お前は大通りを見張ってろ」
暗い路地に、男の声が響いた。
「ったく……手間かけさせやがって。
おい、おーい起きろ」
ペチペチ。頬を叩く音は軽いものの、痛みは強く響いた。
「っ……」
彼が叩いている場所はクリスティアの頬――痣の上からビンタしているのだ。
「起きたね~ぁっー! やっぱ可愛いなぁ」
「…………ここは」
クリスティアは意識の覚醒と同時、周囲を観察する。
周囲の壁から何処かの路地に連れ込まれたと予想を立てる。
「っ……(腕が拘束されていますね、これは)」
腕を頭の上で縛られ、足も動きが取れない状態だった。
そして極め付けは自分の下腹部にいるソレである。
「……ッぐ、ぁぁぁッ! ぁ、ぁぁあッ!(今は、少しでも、大きな声を……!)」
「あ?」
門番の男性、略して門太はクリスティアに馬乗りしていた。
動けない、息が苦しい、加えて大きな声が出せない。
人気の少ない通り、声を出せない、乱暴にされる寸前……有り体に言えば絶望的な状況。
――――だがそれがどうした?
「ぁ、ぁァぁああッ!(生き汚さだけなら、誰にも負けないと自負しているのですよッ!)」
その程度で諦められるほど、英雄は賢くない。ふざけるなふざけるなと嘆き散らすは醜く穢れた底無き憎悪。
「うるせえッ! 黙ってろ糞がッ!!」
「――――?」
メリィッ♡(拳が減り込む音)
「――――こひゅっ」
クリスティアの意識が真っ白になる。
理解が遅れ、妙な息が漏れる。
「ぁっ……っ! ぅ。ぅぁ……っッ、っーッ(?????????)」
肺を潰され、息が無理矢理に外に出される。呼吸困難に陥り声にならない声を絞り出す。否、絞り出すことを強要されていた。
「なあ、クリスちゃん……俺さ、実は和〇じゃないと抜けないんだよね」
「ッ、ぅ……?」
門番は唐突に謎の自分語りを始める。当然クリスティアは困惑する。
だが門番は知らぬとばかりに自分語りを進めていく。
「今の状況、第三者から見たらまるで強〇みたいじゃん? 俺さ、レ〇プとかそういうのでは抜けなくてさ~
――だからさ、今ここで合意してくんない?」
「…………ぇ…?」
何を、言ってるのですか、と問いかけることは出来なかった。
だって腹パンされたから。
「――ッ、ぁぅ……っ、ぁ゛、。ぃゃぁ……」
クリスティアは怯えてしまい、必死に縛られた腕で頭を丸め込んだ。
「だ~か~ら~♡ クリスちゃんが合意したら強〇じゃなくて和〇になるじゃん?
そうしたら世界平和の第一歩。核兵器を捨てた理由」
失神しかけるクリスティアへ、追い打ちの平手打ち。圧倒的能力差のせいで頬が腫れてしまう。
「ねえクリスちゃん、俺のこと、好きだよね? これから和〇するんだよ、ね?
あのさァ! 俺はフェミニストなんだよ!! だからこうして生まれ付き頭の軽いバカ女の意見を聞いてやってるんだよ!! 分かるかなァ!? おいいいい!! 返事しろおおおおぉぉぉぉ!! オメエは亀か!? 俺はウサギでも待たねえよッ!!」
「っ……ぃ、ぃゃ……っ、ぃゃぁ……っ」
声は小さく、とても怯えてしまっている。
それでも告げた声は確かな拒絶を示しており――――門番、キレる。
「和〇って言えよおおおおおおおおおおおおおおおおおッ! 頭のネジ外れてんのかァ!? おいィィィッ!
ネジ外れてんなら巻きなおさなきゃなァ!?」
前髪を掴まれ、そのまま地面に叩きつけられる。巻くとはなんだったのか。
「いやぁ゛っ」
ゴッ(頭を地面に叩きつけられる音)
「ぅ゛、ぁっ」
ミシ……キュ♡(首を絞められ、悲鳴すら上げれなくなる音)
ゴッッ(頭を地面に叩きつけられる音)
「ぃぅ、ぃゃ、ぁ」
何度も、何度も、地面に頭が激突する。頭から血が流れる、それを見て門番が気が済んだのか攻撃を止めた。
「ごめんねクリスちゃん。俺も実は酷いことしたくないんだよ……でも君が我儘いうから、仕方なく……さ。
で、もう一回聞くんだけどさ……俺たち、和〇、、だよねぇ?
つーか抵抗してねえから実質和姦だよッ!! こんなの和姦百人一首全国大会出場決定だろうがッ!!」
もうクリスティアには反抗するだけの勇気は無かった。
英雄は小動物のように震える。クリスティアは酷く怯えてしまった、心に着実にトラウマを植え付けられていた。
「…………」
「ええ? なんてぇ?」
「…………わ、かん……でしゅ」
彼女の声は聴くだけで痛々しさを覚えるモノだった。
門番が求めていた言葉、それを聞いて門番は――――またキレた。
「ひぁ゛ぃっ――――ぁ゛ぁ゛ッん゛ぐ、ッ!?」
あろうことか門番はクリスティアの指を折った・・・・・。
叫び声を上げようとするクリスティアの口に布を突っ込む。
「ねえ、クリスちゃん……なんで怯えてんの?」
なんで分かんねえの? などというツッコミは誰も出来ない。
「俺たち、これから和〇するんだよね? イチャラブなんだぜ?
なのにどうして怯えてんだ? おい、笑えよ……笑ってみろッ!!
俺は和〇じゃねえと抜けねえんだよッ!!」
「ひっ」
クリスティアはこの上なく怯えていた。戦場ではこのような場面、多くあったのにも関わらず、だ。
そのため怯えと同時に困惑を抱く。
――――自分こんなに臆病だったのですか? と言う風に。
「(笑わなきゃ、笑わなきゃ笑わなきゃ……! やだ、笑えない、やだ、こわい)」
とても怖い――――怖がれない。
逃げ出したい――――逃げ出せない。
助けてほしい――――助けは来ない。
絶望的状況。チェックメイト。ゲームオーバー。この状況下に英雄と呼ばれた女の子は二つの選択を迫られていた。
【諦める】【諦めない】
「(こわい、こわい、こわいこわい……だれか、だれかぁ)」
選択できるだけの思考に戻っていない。けれども選択しなければどうにもならない。そして彼女は――――
「(いや、だ……! 諦め、たくない……ッ!)」
次の瞬間。クリスティアは門番へと渾身の頭突きを喰らわした。
「ッ!?」
それは本当に偶然の産物。門番が油断していたこと、クリスティアが直前まで本当に怯えていたこと、腕の拘束が甘く外れてしまっていたこと。
全てが重なり、一瞬だが門番を怯ませることに成功した。
「っはー! だれか、だれかたすけてっ!!」
「てめぇッ!」
口の布を取っ払い、精一杯の叫びをあげる。声量はそこまで大きく無いものの確実に聞こえた人間はいただろう。
――――しかし。
「ぐぅっ……!」
「この雌ガキ、下手にでてりゃぁ調子乗りやがって」
クリスティアが本当に死にかねないレベルの拳。それを直撃しクリスティアは吐血する。
「っ、ぁ……! ぁ、ぁ、っ……--ッ」
その場に蹲り、必死に身体を丸め込む。本当に死んでしまうほどの痛みに身体が反応したのだ。
「(ここ、で。おわ……るの……?)」
旅をして一週間も経っていないという状況で、早くも走馬灯を見かけている。
「(いや、だ。死に、たく、ない……!)」
だが彼女は英雄と呼ばれた存在だ。走馬灯を見た程度で諦められるほど物分かりの良い子ではない。
【月の光に黄金よ】
ゆえに、彼女は期せずしてその力を使おうとしていた。
「(まだ、しねない……! だって、まだ、
【我が戦友なる道化よ】
否、力が主たる少女を死なせんとするために這い上がっているのだ。
【ペンを貸してはくれないか】
「(あと、少し……もう、少し、がんばろう、そう、すれば)」
【彼女に手紙を――――】
「おいお前!! 何してる!」
「(#^ω^)ノ剣」
完成する直前。クリスティアに助けが訪れた。
クリスティアの叫びを聞いて冒険者や憲兵が助けに来たのだ。
「…………ぁぅ……」
そしてクリスティアは安堵と共に、気絶した。
◆◇◆
一時間後。ギルド、医療室にて。
クリスティアは自分の服を捲り、痛々しく腫れた腹部を露出していた。
「じゃあ薬塗るからね。沁みるわよ」
「……はい……っ」
赤黒い患部に、ギルドの受付嬢が触れる。
「ぅ……っ……!」
ピリッと鋭く重い痛みがクリスティアを襲う。けれど先ほどに比べればまだ弱い、と言い聞かせて耐える。
「…………(すごく熱い。内出血が凄い……というがえぐいわね)」
「パイセン……ちょっと外の空気吸ってきてもいっすか……」
現在、この場にはクリスティアを合わせて三名の女性がいた。
クリスティアとギルドの職員が二名。
その内の後輩職員――二ーナは蒼ざめた顔で外に出る許可を求める。
クリスティアの腹部を見て、気分が悪くなったのだろう。だがそんな彼女を責めることは出来ない。彼女は冒険者ギルドに就職してから日が浅い。
ゆえに先輩の職員――アンナは仕方ないか、と小さく呟いた。
「気分が和らいだら戻ってきなさい」
「おけまる……」
アンナはニーナが退出すると再びクリスティアに目を向けた。
「(右手の薬指が骨折。あとは肋骨に大きなヒビ……頭に致命的な傷が無いのは不幸中の幸いというべきかしら。
人体に傷を付けずに内部へ干渉する魔法、使える奴いたっけ……ああ、そういえばこの子にセクハラしてた奴、使えたな……)」
クリスティア・アルトマーレ。数日前にフラッと来ては強力な祝福を使用し、ギルドに日雇いされた女の子。
アンナは以前、話をして人柄を軽くだが触れた。
「(こんなに純粋で礼儀を重んじる子、今の時代には早々いないわよ……ったく、犯人は地獄の業火に焼かれてほしいわ)」
真面目で純粋、清廉で礼儀正しい。物語の聖女様が現実に遊びに来た、と言われても信じれるほどには好感を持てる女の子。それがアンナが下したクリスティアへの評価である。
「ん……っ……ぁぅ」
「……それに変な気持ちになってくるしね」
「……?」
女性のアンナから見ても、クリスティアは愛らしかった(本人は不本意)。
痛みに耐えようと必死に声を殺している。その際に漏れる嗚咽はとても艶があり、立派な女性なのだと強制的に認識させられる――――それほどの魅力をクリスティアは放っていた。
「まず腹部の腫れが収まるまでこの氷水で冷やしてください」
「はい。 ひゃあっ」
固定帯を無理に着ければ腫れが悪化する可能性がある。ゆえに一時間程度の絶対安静を言い渡し、氷水を渡す。
腹部に置いた瞬間、クリスティアが嬌声を上げる。アンナはそれのせいで更に変な気持ちになった。
「ぁ、ぅ……」
声を聞かれたのが恥ずかしいのだろう。一瞬だけ固まり布団を被る姿は見るモノに小動物のイメージを想起させる。
アンナはそれのせいで更に変な気持ちになった。
「……ぁ、ぅぅ……こっち、みちゃ……ゃぁ……」
「…………(やべえな、そろそろ三十路なんだけど。ここにきて新世界開拓とかキツいわ。マジで生涯独身ありえるなこれ)」
アンナ(独身・二十九歳)は『なんだこの超生物は』という感想を抱いた。
それはギャップ。普段は礼儀正しい少女の弱い一面にグッとくる……即ち萌え文化である。
「これが萌え……ですね、恐らく」
「……?」
「(は? 首傾げんな可愛すぎかよブチ犯すぞ)」
クリスティアとは普段から軍人の如き礼儀正しさを身に纏い、痛みにも耐える胆力のある女の子――――そのギャップ。その愛らしさ。
アンナは新世界に足を踏み入れた。
「コホンっ。あと……少なくとも今日はベットから出ないでくださいね。固定帯付きで安静すれば三週間ほどで治りますから」
アンナは治療できる奴を呼ぶため、退出をしようとする。刹那に。
「女の子って……大変、なのですね……」
クリスティアのそんな声が聞こえて。
「(普通の女の子はそこまで過酷じゃねえわよ……!!)」
そんなツッコミをしていた。
◆◇◆
アンナが退出後、同じく医療室。安いベットの上で、クリスティアはある事を考えていた。
「(……いつ旅に出るか。そろそろ決める必要があるようですね……)」
それはクリスティアの目的――婿探しの旅である。
街にいる目的――資金集めはもう達成している。ゆえにここで彼女を考えさせているのは別の要因が関係している。
「(この怪我を抱えた状態での旅は……)」
しかしこの大怪我を抱えての旅は過酷極まるだろう。
ゆえに最善は怪我が治ってから街を出るという案――に思えるが実は違う。
「(けれど、この街に留まってもまた狙われる……ですか)」
クリスティアは衛兵に聞かされた話を思い出した。それはクリスティアが暴行を受けた原因に関する話だ。
「(今回の実行犯は領主の命令を受けていた。けれど領主はそれを否定した……否定された上に相手が貴族だから手を出しにくい……でしたか)」
マルマイル・デシュタール。その名は以前、クリスティアも聞いたことがあった。そして人柄を知っているからこそ、この件は難しいのだ。
「(以前は戦場に指揮官として派遣されて、それはそれは場を滅茶苦茶にして帰っていきましたね……。帰った後に何とか勝利したら、その功績を自分のものだと言っていたこともあるのでしたか)」
――つまり兵士からの評価は最悪な奴、その割合は実に九割。
尚、残り一割は『なんだアイツ、面白過ぎるだろ』という感想だった。
「(二年経って成長していれば……ここで手を引いたり、してくれるのでしょうが……)」
成長している可能性に賭けるのは危険すぎる。ならば必然、最良の手は〝どちらでも大丈夫な案〟に限られる。
「(資金は十分すぎるぐらいに集まった……と、なれば最低限の行動が可能になり次第……)」
クリスティアは今後の方針を決定し、回復に専念した。
身体を横に倒そうとする――瞬間、腹部に鈍い痛みが走り……
「…………」
クリスティアはその痛みを無視して、その日は眠った。酷く浅い眠りであった。
後書きーーーーーーーーーーーーーーー
【IF 諦めるを選んだ場合】
→身綺麗になって領主の元に渡される
→二週間ほど■され右腕、左目、右耳、左足、会話機能を失う。
→領主が飽きたから奴隷として売られる→格安の性奴〇として売られる。
→元勇者に買われる→半年間ずっと精神療養をしてもらう
→会話できるまでに回復
→元勇者『男でもあのまま行ってたら襲ってた』
→〇奴隷としての初仕事→他の面でも役に立とうと決意する
→また色々あってボコられる→元勇者が助ける。
→元勇者『お前は俺の性奴隷だ―――だから、その時まで傍にいてほしい』(口付け)
→クリス、無意識に涙を流して自分はずっと辛かったのだと自覚
→幸せ性奴隷END① 【あなたの背中はおおきくて】
Q、女の子が苦しんでるところ見て、なにが楽しいの?
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