第3話

「やっぱり学食と言ったらカレーに限るよな!」


「カレーなら駅前のとこに安くて美味しいとこあるぞ?今度いくか?」


「いや、そういうことじゃねーよ!なんで俺が学食のカレーが1番うまいみたいに言ってんだよ!もっと美味しいとこ知ってるわ!」


「わぁ、学食のカレー批判してるぅ、学食のおばぁちゃん!こいつカレー美味しくないって言ってるよー」


「わぁーーー、うそうそ、1番おいしい!」


そんな感じでいつも変わらず俺は健二と昼を共にしていた



俺は食堂で並んでる生徒の中に見覚えのある人を見つけた


あれ、あの子って


「照一、どこ見てんだよ?...あー、あの子かぁ〜」


「なんだ健二はあの子のこと知ってるのか?」


「当たり前だろー、名前は本田 葵、この学年でトップ3には入る美少女だよ、150後半の身長で青みかかった黒の髪でショート、そしてあの笑った時の天使な笑顔、素敵ですなぁ」


そう、昨日助けた女の子、本田 葵はここの学校の生徒でしかも同学年だったそうだ、それでもってとても有名だった


あ、目が合った、驚いてる


あ、目をそらされた


えっと、これってあれだよね、まさかこんなところで会うなんて思わなくてびっくりして目を逸らしちゃっただけだよね?


まさかこんなとこであっちゃったよ、無視しとこみたいな感じじゃないよね?そうだよね?


そんなことを思いながら食べ終え教室へと戻った

ちなみに俺は味噌ラーメンだよ、無難だね



学校が終わり、今日はバイトもないので夕食を手間をかけて作ろうと思いスーパーに寄った


1人でここまで来たけど決してぼっちじゃないよ、ただ今日は健二が部活なため1人で帰ってきてるだけだよ?ほんとだよ?


「今日は何を作ろうかなぁ」


俺が作るものを悩んでいたら、


「じゃあグラタンなんてどうかな、宮田 照一くん?」


いきなり背後から声をかけられた


「うわっ、びっくりした!...えっと、こんなとこで会うなんてね、本田さん」


そこに居たのは食堂で見かけた本田 葵だった


「別に葵でいいよ?私も照一くんって呼ぶから!......ダメかな?」


「ぜ、全然いいよ、じゃあ改めてこんにちは、葵さん」


「こんにちは、照一くん!ところでいつも自炊してるの?」


「まぁね、一人暮らしだし、いつも外食できるほどお金もないしね」


「へぇ〜、一人暮らしなんだ、じゃあいつでも女の子を呼べちゃうねー?」


「まだそんなことしてないって、しかも呼べる相手もいなし...」


「ごめんごめん、元気だして!」


そんなことを言って笑ってる葵さんを見てふと思った、昨日とは全然違うなと


「ん?私の顔になんかついてる?」


「あ、そうじゃなくてなんか昨日とは雰囲気が違うなぁってさ」


「あー、確かにそうかも、だってまさか同じ学校の同学年なんて思ってなくてもっと年上かなって思ってたからさ、馴れ馴れしかった?」


「そのまんまで全然いいよ、でもちゃんと気づいてくれてたんだね」


「そりゃ食堂で目が合った時はびっくりしたよ!それで目を逸らしちゃったけどね」


あー、前者でほんと良かった


「そういえば武器持ってるけどもしかして今からダンジョンに行くの?」


「うん、そのつもりだよ」


マジか、昨日にあんな危険なことがあったのに、もうダンジョンに行くなんてどんな神経してるんだよ


「あっ!その顔は昨日あんなことあったのにって顔してるね」


え、俺の心が読めるんですか?


「まぁ、確かに昨日は危険だったけどあれはイレギュラーな事だったわけでしょ?それにダンジョンは元々が危険なとこだし今日行かなくても次にまたあるかもしれないなら一緒だよ」


確かに言ってることはわかる、昨日のことはイレギュラーだった、そうそう起こるようなことじゃない、だからと言ってもなぁ


「また一人で行くのか?」


「そうだよ、私はいまはソロでやってるんだ」


「誰かとパーティー組んだら方が良くないか?それからまたダンジョンに行けばいいと思うぞ」


「うん、パーティーは組みたいよ、でもねそれを待ってる時間は私にはないんだぁ」


そう言って葵さんはどこか悲しそうな顔をした


「他人がどうこう言うことじゃないかもしれないけどよ、あんまり焦るなよ?」


「わかってるよ、そうだ!照一くんが私と一緒にパーティー組んでよ!強いし助けてくれるし頼りがいあるなぁ」


「悪いな、俺はパーティーなんて組まないよ」


「えー、でも昨日の人と一緒にダンジョンにいたじゃん」


昨日の人?あー、先輩のことか


「あれ、バイトで先輩と一緒に仕事をしてただけでパーティーを組んでいた訳では無いんだ、それに俺はバイト以外でダンジョン行こうなんて思わないんだよ」


「そっかぁ、でも私は一緒にダンジョン行きたいなぁ、どうかな?」


やめてくれ葵さん、上目遣いで人差し指を唇に添えて少し首を傾げながら言わないでくれ、とてもあざとくてめっちゃドキドキしてるんだ、思わずYESと言いたくなってしまう


ていうか可愛いすぎだろ!なんだよこの子!改めて見るともろタイプです、ありがとうございます


でも、たとえ一生に1度あるかないかの可愛い子に誘われたとしても俺はNoと答える!


「わ、悪いな葵さん、俺はやっぱり遠慮しとくよ、ごめんな」


あーーー、やってしまった、こんなチャンスそうそうないのに断ってしまったーー!


「そこまで言われちゃ今日のところは引き下がろうかな、そうだ!じゃあせっかくだからライン交換しようよ!ねっ!」


え、まじですか?いいんですか?こんな俺が連絡先交換してもいいんですか?


「う、うん」


「じゃあこれ追加お願いね!」


そしてついに高校生になって初めての女子高生の連絡先を入手してしまったのだ!やったー!!


「じゃあ今日はこれで行くね、また明日学校でね!」


「あぁ、気をつけろよ、何かあったらいつでも連絡してこいよー」


「え、いいの?じゃあ遠慮なくそうさせてもらうね、バイバイ〜」


そう言って笑顔で彼女はスーパーを出ていったの

だった


「さっ、夕飯の材料買わないと」



次の日、学校の休み時間になった頃


「おーい、宮田〜、呼ばれてるぞ〜」


男子生徒に呼ばれて扉の方に意識を向けると


「あっ!照一くん!」


まさかの葵さんが手を振って教室の扉の方にいるではないか、なんで居るのか疑問に思いながら向かうと


「来ちゃった♡」


これまた男心を揺さぶる言い方だこと、なんだか僕ドキドキします


「えっと、葵さんどうしたの?」


「あのね、一昨日のお礼をしてなかったから今日どうかなって思って〜」


「あー、別にお礼なんていいのに」


「それはダメ!助けて貰ってとても感謝してるの、だからちゃんとお礼がしたいの!」


「わかった、わかった、じゃあ先輩にも今日どうか確認してみるよ」


「うん、お願い!」


俺が葵さんと喋っていると


「おいおーい、こんな奴より俺と話さない?えっと、確か葵ちゃんだよね?」


いきなり隣から会話に割って入ってくる男子、名前は村田 純と言いクラスのカースト上位的な存在だ、まぁ顔はそこそこイケメンで身長も180過ぎで体格もよく既に冒険者資格を持っているためクラスでも注目されている、だが少し悪い噂もあるため、俺みたいな臆病者はあまり接しない様にしている



「えっと、ごめんね、私はいま照一くんと話してるからまたの機会にね?」


いやぁ良かった、葵さんは断ってくれたよ、このまま2人が会話に盛り上がって俺はそのまま空気になっちゃうんじゃないかとちょっと心配しちゃったよ、ほんと良かったぁ


「ほんとにそうかぁ?もう話し終わったよな、宮田ぁ?」


うわぁ、そう来たかぁ、冒険者資格とってクラスで注目されてるからって少し調子乗ってないかこいつ〜!


だが、俺も男だ!彼女が少し嫌がってる(ような気がする)んだからここはビシッと言うべきだ!


「えっと〜、俺もまだ葵さんと話すことあるから、また今度にして貰えないかなって、あはは」


「そうかよ、んじゃまた今度な葵ちゃん」


そう言って村田は去っていった


はぁー、怖かったー、よく頑張った俺!


「さすが照一くんだね、じゃあまたあとでね、バイバーイ!」


そうして葵さんも自分の教室へと戻っていた



「照一!おまえー、さっきの会話はどういうことだぁ?」


おっと、次は健二がすごい形相で俺に話しかけてきた


「見たまんまだぞ?あと顔が怖い、いまの俺泣いちゃう」


「なんでお前は本田さんと知り合いなんだよ!しかも助けた?なんだそれー!」


理由を聞かれたので一昨日あった出来事を話してやった、これで機嫌治してね?


あと、話してる最中に周りの男子からすごい殺気を感じてました、なんか「死ね!」「クソ野郎!」「なんで俺にはそのイベがない?!」「あいつと俺で君の名はをやりたい」「俺もあの子に告白しよ」など誹謗中傷が凄かった、てか最後のやつは俺も応援してます、頑張って!


「なるほどぉ、お前がバイトでダンジョン行ってるの知ってたけどそんなイベントが起きるなんてなぁ、すごーく羨ましい、俺はお前を嫉妬で殺しそうだ」


「そこまで言わなくても良くない?!」


「俺はなぁ、お前がそんな素敵イベントを起こしてる間も男だけの部活仲間と一生懸命にダンジョンを探索してたんだからな!男だけで!」


「そうか...悪いな、俺はどうやら気づかくうちにお前より1段階上のステージに上がっていたようだ!」


ニヤリッ


「おまえー、ゆるさーん!」


「ハッハッハッー!」


なんだろう、この優越感、たまりませんなぁ


「おい!さっきはよくも邪魔してくれたなぁ」


急に村田に話しかけらて胸ぐらを掴まれた、顔近いし怖いよぉ〜、とても怒ってらっしゃるよぉ〜


「その手を離せよ、村田」


なんと健二が俺を庇ってくれた、今のお前とてもかっこいいよ、マジ惚れそう


「そうだね、急にそんなことをしちゃいけないよ、手を離してあげなよ純」


さらに俺を庇ってくれた男子、名前は相澤 一輝で学校一イケメンと噂されるほどである、そして冒険者資格を持っていてなんと称号『騎士』という勝ち組である、ちなみに称号『騎士』はあまり持ってる人がいなくとても強力な称号だ

そして、村田とはどうやら幼なじみらしい


「チッ、お前まで来るのかよ、...宮田ぁ、あんまり調子乗ってんじゃねーぞ」

はぁ、また平穏に去ってくれたよ


てか俺は2人に助けれもらったんだな、情けないったらありゃしない


「えっと、相澤ありがとうな」


「気にしなくていいよ、あいつは最近イラついててな、迷惑かけて悪いな」


相澤はそう言って去っていた


「お前もありがとな、まさかあんなこと言えるなんて思わなかったぞ、すげぇかっこ良かったよ」


「そうかぁ?へへっ、でもお前は友達なんだから当たり前だろ?」


「うわぁーー、健二〜、俺はお前のことが大好きだよー」


「え、ちょっ、やめろ!くっつくな!男子に抱きつかれても嬉しくねぇーーー」


そうして休み時間は終わった



放課後、俺と先輩は葵さんの奢りでケーキバイキングに居た


「2人ともいっぱい食べてください、ここは私の奢りなんで!」


「ありがとう、葵さん、でもほんとに良かったの?わざわざ奢らなくて大丈夫だよ?」


「いいのいいの、お礼だって言ったでしょ?しかも、昨日のダンジョンでドロップアイテムをゲットしてそれを売ったからお金に余裕もあるし、ここのケーキすごい美味しんだから沢山たべて!」


「わかったよ!じゃあ俺が本田さんの分まで取りに行ってくるよ!」


そう言って先輩はケーキを取りに行った


ちなみに先程先輩に連絡すると二つ返事で「行くに決まってる、俺を誰だと思ってんだ?先輩だぞっ」と返信が来た



途中、先輩が良いとこを見せようとしケーキをめちゃくちゃ食べたら、胃もたれをして具合悪そうにしていたがまぁ問題なくそれぞれ次に用事があるため解散となった

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