第4話 友達

 なんだか久しぶり。部活引退しちゃったらなかなか会わないもんだね。いや連絡はしてるけど、直接会って話したいなーって。


 頼まれてたこと?うん、作れたけど、そんなに急ぐことじゃないでしょ?世間話でもしない?


 え?いや、そうじゃなくて、もちろんまきのことだよ。ほら、進路とかさ。


 やっぱりまきはK大に決めたの?そうだよね、もともと容量は良い方だけど、すごく努力家だもん。


 私だって負けずに勉強していたけど、やっぱりK大は無理っぽい。まきと張り合ってたつもりだったけど、もう理系だけに絞るのはやめようかな。


 そんな嫌そうな顔しないでよ、私が弱音を吐くのはあなたにだけなんだから。


 それとも、情報研究部元部長の最高傑作アプリ、欲しくないの?あなたの要望を詰め合わせて作ってあげたんだから。感謝してもしたりないくらいだと思ってるんだけど。


 ちょっと、どこいくの?使い方くらい教えるってば。そんなに私のことが嫌い?


 自分は利益を得たくせに、私のことはすぐ切ろうって魂胆?もういいよ。私の気持ちなんていっつも無視なんだから。


 ……なんでそこまでしてくれるのって?ちょっと、それ本気で言ってないよね?いいや、分かってて言ってるんだ。


 誰がただの友達相手に無償でこんなめんどくさいアプリ作るのよ。ばかにしないで。


 使い方の説明するからこっち戻ってよ。


 まず、アプリを開いた時点で自動的にカメラとマイクがオンになるように設定したから。もちろん病院に行った時に起動させといたから、すぐにでも見れるはず。


 あと、スマホの位置情報と操作履歴はこのコードをパソコンに繋いだら見れるようになるし。


 そうそう、カップル専用アプリみたいに情報の共有とかもできるようにしたんだけどどう?


 たとえば、スケジュール管理とか日記閲覧機能とか…まぁいろいろできるってこと!


 え?カメラ?あなたのアプリを開いたって起動しないわよ。きっとそこをタップしたら相手の状況は見れると思うけど……って、え?


 これ、目、覚めてない?


 ちょ、ちょっと落ち着きなよ!嬉しいのは分かるけどさ、せっかくアプリまで作ってあげたんだから無駄にしないでよ。


 佐々木先生のとこに行くだけ?そうならそうって言ってよ、無駄に焦っちゃったじゃん……。


 ねぇ、ちゃんと考えて行動しなよ。私は確かに共犯かもしれないけど、脅されてやったって言えばいくらだって言い逃れできるもん。


 私はそんなことしないだろうってタカを括ってたら痛い目に合うのはあなただよ。


 ところで、さっきの話に戻るけどあなたがまきを好きでも私には関係ないんだから。


 このアプリを作る時の交換条件、忘れたとは言わせないから。


 私はあの子と違ってあなたのためなら死ねるわ。

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