おかしな日
ブレザー姿の制服にささっと着替え、一階へ。
珍しく、母がいなかった。
いつもなら私が降りてくる頃には、ダイニングキッチンで朝ごはんを作ってくれているのに。母も私と同じく疲れているのだろうか。
適当にトーストを焼いて食べる。あまりにも頭が痛く、何か考えるのも億劫だ。
トーストを手に持って熱いとか、タンスに足をぶつけて痛いとか、そんなこと感じないくらい頭が痛い。私も歳か。
支度を済まし、薄っぺらい鞄をぶら下げて外に出た。
通学路はいつも通りである。
まあ、当たり前か。実を言うと、さっき見た夢みたいな光景だったらどうしようと少しびくついていた。
私の家から学校は、アスファルトの道を右へ左へと曲がりながら行った先にある。
そんなに遠くはない。せいぜい十分ほどで着く距離だ。
一緒に通う友達もいないので、いつも考え事をしながら歩いている。
今日はブログに書くネタを考えねばならない。といっても書きたいことはもう決まっていた。私の先祖の話だ。
うんうん唸りながら考えに考えていると、おかしなことに気がついた。
なんだか今日は誰ともすれ違わない。
いつもは、犬を連れてるおじいさんや通学途中の中学生にすれ違ったりするのに。
あまりにも誰にも会わないから、もしや今日は休日かと疑ったけれど、今日は水曜日である。
もしかしたら私が考え事に熱中しすぎて気づかなかっただけかもしれない。
おそらくそうだ。なにせ、痛む頭を無視して考えようと必死に努力しているのだから、他のことが見えなくなっても無理はない。
そういえば、昨日ブラジルあたりで大きな地震があったな。
唐突に思い出した。別に今思い出すことでもないだろうに。
ニュースキャスターが、この一週間はここら辺も地震に注意するようにとか言っていた。
地震の層が、動いただとか地震の波がどうとかなんとか言っていたけれど、中学の時やった地学の授業なんてもうほとんど抜け落ちているのでさっぱりわからなかった。
だって文系だもん。
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