第14話 一方的な戦い

「さぁ魔王の力を見せてやる!」


「ヒィッ!…う、ウォー!!」」


 キョウの言葉に怯えながらもゲーム部部員たちはキョウに攻撃を仕掛ける。


「遅い!ハァっ!!」


「「グハッ!グオッ!ガハッ!」」


 キョウの攻撃により一瞬で数人がポリゴンとなり消えていく。


「くそっ!みんなで一斉に襲うぞ!」


 一人の部員の指揮により複数人でキョウに襲いかかる。


「なるほど、数か。だが、そんなものハンデにすらならない」


 キョウは思いっきり大剣を振り、向かってくる先頭の部員を吹き飛ばす。

 それにより後方にいた部員を巻き込みドミノ倒しのように部員たちは倒れていく。


「くそ、なんだあれは!」


「おい、早くどけ!じゃないと……」


「やめてくれ。俺はまだなにも出来てな…」


 ゲーム部員たちは各々生きようとあがく。

 だが魔王はそれを許さない。


「残念。魔王にする命乞いには不十分だ」


 ゲーム部員たちはキョウにあっけなく斬られ、消えていく。


「さて、後はあんただけみたいだな。ゲーム部部長さん?」


 キョウの闘志に満ちた目つきの悪い目が部長の姿を捉える。

 そんな目で、見られた部長は硬直してしまう。それはまさに蛇に睨まれた蛙のよう。


「くっ。だ、だが、お前だって連戦で少しは疲れているはず。なにより40対1で負けるわけにはいかない!」


 部長は震えながらも剣と盾を構える。


「そうか。じゃあせいぜい無様に負けないよう頑張ってくれ、よっと!」


「クッ!?」


 キョウが振り下ろした大剣を部長はなんとか盾で受け止める。


「な、なんとか止めたぞ!」


 部長はキョウの攻撃を止めたのが嬉しかったのかニヤリと笑う。

 そんな部長を見てキョウもまたわらう。


「止めた?なにを言っている。止めさせてやったの間違いだぞ?」


 キョウは大剣を持つ手の力を強める。

 そして……


 バリンッ!と、盾が割れポリゴンとなって消える。


「なっ!た、盾が!?」


「これであんたを守る物が無くなったな。次はその剣を持ってかかってこい!」


 キョウは一度距離をとる。

 そんなキョウからの言葉と行動を見て、部長は悔しそうに剣を握る。


「くそっ、舐めるな!ウォぉぉ!!」


 部長は勢いよく走り剣を突き刺す。

 が、それも虚しくキョウは大剣を振り、部長の剣を弾く。


「くっ、まだだ!!」


 それでも部長はめげずに再びキョウに剣を向けて走る。


「残念だが、あんた程度の攻撃は通じない。それに、」


 キョウは大剣を背中にしまう。

 そうして手ぶらになったキョウへ部長の剣が襲いかかる。


「同じようなのは、もう飽きた」


 キョウは足を一歩引き、部長の突きを躱す。

 さらに、


「うわ、あ、あ!?」


 キョウは部長の手首と首元を掴み、地に倒す。


「うっ!な、なんだ、いまの動き!?」


「ん?なんだと言っても……『武術スキル』?」


 キョウは部長を地に倒した状態でキョトンと、首を傾げる。


「ま、なんでもいいだろ。それにそろそろ終わらせないと」


 キョウは部長の首根っこを掴みむりやり立たせる。


「は?終わらせる?ちょ、やめ離せ!」


「まぁまぁ。すぐ終わるから。じゃ、ちょっとした空の旅を楽しんでくれ、よっと!」


「うわあぁぁ!?!??」


 キョウは部長を思いっっきり、空へと投げる。

 そして、部長は一定の高さまで上がり、物理法則に従って急降下する。

 そんな部長に向ってキョウは叫ぶ。


「俺の勝ちだ!ゲーム機、ちゃんと用意しといてくれよ!」


 キョウは落下してくる部長の身体に大剣を叩き込み、そのまま部長のHPは0になりポリゴンとして消える。

 そして、YOU WIN の文字が空に映し出される。


「ふぅ~。…戻るか」


 キョウは後ろを向き、手を大きく振っている魔王軍達の元へ歩いた。



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