第11話 魔王軍の戦闘前
時は過ぎ、魔王軍(VRゲーム部)はゲーム部との戦いを今日に迎えた。
「おはようございます。先輩」
「おはよ。姫」
駅のホームにて、良と姫は挨拶を交わす。最近ではもはや定番となっている。
「いや〜。いよいよ今日ですね。がんばってくださいね先輩!」
「うん、そうだな。でもあんな作戦しなくてもいいと思うんだが?」
良は快に言われた作戦を思い出し、疲れた顔をする。
「だめですよ。あの作戦をやれば、剣人君も言っていたとおり愚民どもに先輩の強さを示せるんですから」
「いや、でも……。お前、いま愚民って言った?」
「はい、それが何か?」
姫は先輩、突然どうしたんだろう?とキョトンと顔を倒す。
「だって私見たんですよ!」
「何を?」
良が聞くと姫は良に近づく。
「先輩がハンカチを拾って落とした女子に話しかけようとしたら逃げられたり、先輩が消しゴムを拾って渡そうとした時に、持ち主から怯えた声で「あ、ありがとう。ごめんなさい!」って言われたところをです!……先輩の手を煩わせた挙げ句、ろくな感謝も出来ない者なんて愚民ですよ」
「落ち着け、落ち着け。というか、よくそんな事知ってるな」
良の言葉に姫はあたふたとする。
「え、えっと、まぁ。私ですからね!」
姫はなんとか強引に話をそらそうと、強く良に迫る。
「うん?うん。そうだな分かった」
そんな姫に押され良は強引に納得する。
このように良と姫は喋りながら校門前に着く。
「あ!我が魔王。おはようございます。姫殿も」
「おはよう。キョウ、姫」
校門前には、剣人と空が立っていた。
「おはようごさいます空ちゃん先輩、剣人君」
「おはよ。どうしたんだ?二人とも朝から校門前で」
良が聞くと、剣人は手を差し出す。
「今日は決戦の日ですからね。時間も取れたので我が魔王にご一緒しようかと。鞄お持ちします」
「え、いや。べつにいいよ鞄くらい」
「お持ちします」
良が断ると剣人は更に強く鞄を持とうと言葉を発する。
そんな剣人に押され良はため息をつく。
「はぁ〜。わかったよ、ほら」
「はっ!ありがたき幸せ」
剣人は良から鞄を受け取る。
「それで空はなんでここに?」
「……学校に来たらケンが待ってたから、一緒にキョウを待とうと思って」
「そっか。ありがとな」
良がお礼を言うと、空は頭を差し出し、
「お礼はいらない。対価が欲しい」
と頭を指差す。
「対価ね、分かったよ。でもこれで良いのか?」
良は空の頭を撫でる。
「うん。いい感じ」
「あ!空ちゃん先輩ズルい!先輩、私も!私も!」
姫も良に頭を差し出す。
「いや、なんでだよ。……これでいいか?」
良は呆れながらも姫の頭を撫でる。
「おお〜。これは、良い」
これにより、良は傍から見ると後輩に鞄を持たせ、自分は美少女二人とイチャイチャしている目つきの悪いヤベーやつに見える。
そんなヤバいやつを見て、多くの生徒が避けて行く中、そこに近づく影が一つ
「さすがは魔王。朝からイチャイチャしてるな」
「その声は……快か」
良が後ろを向くと一見ちゃらそうな見た目をしている男子生徒、快が立っている。
「べつに俺はイチャイチャしてるつもりは無いんだが……」
良が言うと快は呆れたようにため息をつく。
(はぁ〜。これだから鈍感魔王は。どこからどう見てもイチャイチャしてるだろ、っと)
快はスマホの時計を見て止めていた足を動かす。
「悪い、良。俺は少し寄る所があるから先に行くぞ、また教室でな」
快は言うことだけ言ってその場を去ってしまう。
「何なんでしょうね?快先輩」
「さぁな。まぁ、あいつのことなら心配ないだろ。俺たちも行こう」
良が歩くと、姫と空は横にピッタリと張り付き、剣人は一歩下がって歩き出す。
そしてこの日の放課後決戦の時はすぐに訪れるのだった。
――――――――――――――――
放課後。創星学園放送部の二人の女子生徒が創星学園専用チャンネルにて生放送をしていた。
『さてさて、今日も始まりました。部活動対抗戦。これは新理事長により作られた新校則により、全生徒が部活に入らなければならなくなり、それにより多くの部活が設立されました』
『ですがあまりに多くの部活が設立されてしまい、このままでは学校側も手におえない!』
『ということでこの1週間、既存の部活と新部活で戦い合い、見事新部活が勝利すれば部活設立を正式に認められます。と、いうことで……』
『『世はまさに部活動戦国時代!!!』』
二人の決めゼリフにより、放送は始まった。
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