第一章 魔王軍の高校生生活
第5話 新学期
オフ会から数日、春休みが終わり。キョウたちは新学期を迎えた。
魔王キョウ改め、鏡良は通ってる高校の制服を着て、駅にて人を待っていた。
「あ、センパーイ。おはようこざいます♪」
「よっ、姫。おはよ」
良は待ち人に軽い挨拶をする。
待ち合わせの相手は魔法姫ヒメ改め、虹明姫乃。
ちなみに良は姫乃に言われ現実でも姫と呼ぶことになっている。
「ありがとうございます。わざわざ待ってもらって」
「気にするな、そんなに待ってないし。というか、同じ電車だったしな」
「そうですね。まぁこの人の多さじゃ電車の中で合うのは難しいですしね」
姫が周りを見ると、良や姫と同じ制服を着た数多くの学生が歩いている。
「さて、先輩。行きましょう!」
「はいはい。というか、なんで一緒に行こうなんて言い出したんだ?」
良が聞くと姫は、ニヤリと笑みを浮かべる。
「それはもちろん!先輩と一緒に行きたかったからですよ♪」
「なるほど。で、本音は?」
良が問うと、姫は一瞬ポカンとした表情になる。
「先輩、人の言葉を素直に受け取りませんか?さっきの普通に本音ですけど」
姫の言葉を聞き、良は遠い目をして語りだす。
「いや、人は疑うべきだろ。じゃないと、アイテムや情報目当てのやつに、騙されるぞ」
「いや、それゲームの話じゃないですか」
姫は「と言うか…」と、話を切り出す。
「それじゃあ、私も疑うんですか?」
「いや、仲間は別だろ。俺は仲間を疑うことはしない」
姫は良の小腹を突く。
「先輩、さっき私を疑ったと思うんですけど?」
「いや、お前があんな冗談言うから……」
またしても姫は良の小腹を突く。
「だから、本音だって言ってるじゃ、な・い・で・す・か!」
「分かった、分かったから。その小腹を突くのやめろ」
姫は一旦手を引っ込める。
「分かってもらえたなら何よりです。ちなみに先輩は、学校までどんな道で行こうとしてるんですか?」
姫がそんなことを聞くのは、良達が通っている学校が、駅から少し歩いた先にあるからだ。
少し歩くだけならどんな道で行くかなど気にしないだろうが、駅から学校までの道の途中には、様々な種類の店が立ち並んでいる。
なので帰りの寄り道には困らないし、下校時間にはこの付近で多くの学生を見ることができる。
だがあまりにも店が多すぎて、学校までの道のりが少し複雑になっている。
そんな中、多くの学生は自分の行きつけの店を効率的に回れるように、自分だけの登下校のルートを持っている。
「俺は、行きと帰りで分けてるな。行きは最短ルート。帰りは本屋とかを中心に回ってるな」
良の登下校スタイルは、結構一般的だ。
なおこの登下校ルートにはさらにゲームショップや飲食店なども入っている。
「なるほど。……ちなみにそれ、ゲームセンターとかも?」
「当然ある」
「やった!ナイスです先輩。放課後は遊びまくれますね」
放課後が待ち遠しいなぁ〜♪と、姫が上機嫌になっているのを横目に良は、ふと思ったことを聞く。
「そういえば姫は部活とか入らないのか?」
姫は、う〜んと唸る。
「入る気は無いですね。できるだけ放課後も遊べるようってことでこの高校選びましたし」
「まあ、うちの学校は部活強制とかじゃなからな」
良達の通う学校は、生徒に自由で楽しいことをと言うなんとも有り難い思考を持つ人が、理事長なので校風や校則は割と自由なものになっている。
「でも先輩、今年から理事長が変わるとかなんとかっていう話を聞きましたけど?」
「へぇ〜……まじで!?」
「マジですよ。まぁ、聞いた話ですが。っていうか何で先輩が知らないんですか?」
「いや、そういう情報は全部、快に任せてるからな」
「快?……ああ、ジェイさんのことですか。先輩、リアルでもジェイさん頼りなんですね」
姫は呆れたように言う。
「良いんだよ。あいつの方がそういうのに適してるからな。適材適所だよ」
「確かに先輩目つき悪いですから。人に聞いても、ビビって教えてもらえなさそうですしね」
「ああ、そのまま逃げられて落ち込むまでがセットだな」
良と姫は、楽しく話しながら学校へと向かったのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます