第3話 もう一人の魔王軍
キョウ達魔王軍は、天空龍との戦いを終え、魔王軍のギルドハウスに足を運んでいた。
「「「ただいま〜」」」
「おかえりなさい〜」
魔王軍を出迎えるは、7人目の魔王軍。
肩までの長さの赤色の髪をもち、腰にはハンマーやポーションが入ったベルトをしている。
魔王軍の鍛冶師にして、錬金術師。ゲーム内最高の生産職者。
ついた二つ名は「マスタースミス」
キャラ名は「マリ」
「で、成果はどうだったの?」
「こんなもんだ。足りるか?」
キョウは、天空龍からドロップしたアイテムをマリへと送る。
「お〜、これだけあれば十分。あ、私これ持って工房に籠もってくるから装備出しといて、耐久力回復させるから」
マリが早速ギルドハウス内の工房に向かうが、キョウがそれを止める。
「マリ、ちょと待て。天空龍倒し終わったし例の件の話を詰めようと思うんだが」
俺の言葉に魔王軍全員が、ワクワクした目で、耳を傾ける。
「先輩それってつまり…!」
「ああ、魔王軍第一回オフ会やるぞ!」
―――――――――――――――――――――
「ふぅ~、つかれたー」
キョウは、頭に装着しているメット型ゲーム機を外し、ゲームとは違い白色のメッシュの入っていない黒い髪を、左右に振りながらベットから体を起こす。
それと共に早速スマホに連絡が来ているのを確認し、指を動かす。
内容はオフ会の日の最終確認だ。
「というかオフ会、早速明日かよ…」
キョウは、すでに0時を回っている時計を見て
「…早速今日だったか」と思いながら、オフ会に向けての体力もとい精神力回復のため起こした体を再びベットに預け意識を落とした。
―――――――――――――――――――――
「えっと、今駅前に着いた。格好は……」
現在キョウは、集合場所である駅前にて魔王軍メンバーと待ち合わせ中だ。
ちなみに今の季節は春、キョウは現在春休み中だ。
「え〜、他に目印になりそうなものは……」
「だ〜れだ!」
「!?」
キョウが、スマホで魔王軍に連絡を送っていた時。
いきなり後ろから声をかけられ、肩を掴まれる。
「はぁ〜あのな、突然肩を掴んで「だーれだ」とか、これで知り合いじゃ無かったらただの不審者だぞヒメ」
「でも、私達知り合いだからいいじゃないですか、先輩♪」
そんなことを言いながらヒメは肩から手を放し、キョウはヒメの方に振り向く。
キョウ目の先にいたのは、
長くきれいな黒い髪、整った顔立ち、そして身につけている、黒の服とスカートはゲーム内での彼女の姿とどこか重なる美少女。
「先輩、一応始めまして。
「あぁ、こっちも一応始めまして。魔王軍のリーダ、魔王キョウだ。……この二つ名自分で言うと結構恥ずかしな」
「そうですか?その割にゲームでは、結構自分で名乗ってません?」
「いや、どちらかというと
そんなふうに、キョウとヒメがじゃれていると、
二人の背後から人影が近づく。
「よう、お二人さん。相変わらず仲いいな」
「…!?」
「よう、ジェイ。相変わらずお前は足音もなしに後ろから声をかけてくるな。ヒメがビックリしただろうが」
「わるい、わるい。つい癖でな」
影の正体はジョーカーこと
ラフな格好とゲームとは違うその茶髪は、彼をチャラく見せる。
「なるほど、ジェイさんでしたか。顔はゲームと同じなのに髪色が違うだけで結構印象変わりますね」
「Second Worldwide Online」」はキャラの外見は現実とほとんど変わらない。
変えられるものは、髪の色や長さ。
もしくは、装備による獣耳や尻尾、エルフの様な長い耳を付けることができる。
「でもヒメ、俺もゲームでは白のメッシュを入れてたと思うんだが、お前俺だって分かったよな?」
「いや、それはこう、雰囲気というか先輩らしい感じが出ていたというか」
必死で言葉を並べるヒメを横目にジェイは、キョウを見て「鈍いな」と思いながら、ヒメに助け舟を出してやる。
「そりゃぁ、お前。その、ゲームでも現実でも変わらない鋭い目を見りゃお前だって分かるだろ?」
「まぁ、それもそうか…」
キョウは結構、目つきが悪い。
だがこれは生まれつきのものだから仕方ないと本人は思いながらも、せめてもの抵抗として前髪を伸ばしている。
だがそれでもこの目つきの悪さのせいで初対面では怖がられ、現実での仲のいい奴は少ない。
「あれ?でもヒメは後ろから声をかけてきたけど…?」
「………そうか。じゃあ、なんとなく分かったんだろう」
ジェイは、「まじか…」という思いながら、適当な理由を付け話を終わらせる。
「それよりも、先輩とジェイさんって現実で知り合いなんですか?」
ヒメはジェイに乗っかり話を変える。
「あぁ、そうだな、俺とジェイは、同じ高校なんだ。現実で知り合ったのはたしか…」
「高一のはじめの頃。大体一年前だな」
「ということは、お二人は今高校二年生ですか」
「まぁ、そのへんの事は皆んな揃ってからな」
そんな話をしているうちに、また後ろから一人魔王軍に近づく影が。
「あの、あなたは我が魔王、ではありませんか?」
「その言い方、もしかしてケンか?」
キョウ達が後ろを振り向くと、ゲームと同じ黒髪に容姿。
そしてゲームとは違い着物などでなく普通の服を着た普通の男子。
だが一点、普通ではない点がある。
「はい!
ケンはそんなどこの時代の人かも分からない言葉を並べるが、それよりもキョウは別のことが気になる
「ケン、その背負ってるのって……」
「背負ってる?…ああ、これですか」
ケンは背負っていた長い棒、竹刀をキョウに見せる。
「すみません。我が家は道場をやっておりまして。今日は、他の道場との練習試合を行った後すぐに駆けつけたので竹刀を持ったままなんです。防具などは、持って帰ってもらえましたが、竹刀は我々剣を扱う者の命ということで、現在持ち歩いています」
「そうか、ありがとなそんなすぐに駆けつけてもらって。別にもっと時間をずらしても良かったのに」
「いえ、我が魔王と一刻も早くお会いしたかったので。お気になさらず」
こうして、ケンを交え雑談をしているとまた、後ろから別の魔王軍がやって来る。
「あ!キョウとヒメ、それにケン!」
「皆さん、お待たせしましたぁ」
「お、来たか。ソラ、ミサ」
「あの、ソラさん。なんで俺だけ名前呼ばなかったんですか?」
キョウたちが振り向くと、ゲームと変わらずの銀髪をツインテールにした美少女ソラと、長い金髪を持つ美女ミサが、立っていた。
「そっちのチャラそうなのはジェイだったんだ。普段と髪色が違うから気づかなかった」
ソラはいつものようにマイペースに話す。
だがヒメはそんなことよりと、話しを変える。
「あの、ソラちゃん先輩、ジェイさんのことは一旦置いといて。ソラちゃん先輩と、ミサさんのその髪って……」
「まあ、この髪のことはまた、みんなが揃ってから話しますよ。ほらあと一人も来ましたし」
ミサが駅前を指すと、眼鏡をかけた茶髪の女性がこちらに向かってくる。
「いや〜、ゴメン待たせちゃった〜?」
「「「だれ?!」」」
「えっ!ひどくない!?」
茶髪の女性は、「私だよ私、私」と一昔前の詐欺みたいな言葉を連呼する。
「皆さん。彼女はマリですよ」
ミサの言葉により、みんな「言われてみれば」みたいな雰囲気になり納得する。
「じゃあ、みんな揃ったってことでまずは飯にでも行くか。」
キョウの言葉で魔王軍は、近くの飲食店に向かった。
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