【極感謝】★1700記念SS ④
「あっ、ブロッコリーが安くなってる。買って行こうよ」
「そうですね。じゃあ、今夜は何にしましょうか?」
「じゃあ、パスタにしましょうよ。ベーコンが冷蔵庫にあったし」
「いいですね」
海斗は高橋ミキの仕事終わりに待ち合わせをし、夜遅くまで営業しているスーパーに買い物に来ていた。いつもはミキが仕事で遅くなる日は海斗がご飯を作っているのだったが、その日は海斗も遅い時間までバイトをしていたのだ。
「最近、海斗君もバイト大変そうだね~。無理してない?」
「大丈夫ですよ、ミキさんほど忙しくないですし。勉強になっているので楽しいです。それより、ミキさん忙しそうですけど大丈夫ですか」
「うーん、今は頑張るしかないな~。でも、落ち着いたらゆっくり休みたいな。また旅行に行くとか」
「それはいいですね」
スーパーからの帰り、二人で話しながら帰っている途中。
駅から続く商店街の道端で男性が座り込んでいた。
「あれ?・・・リクじゃないか・・・」
「海斗君の知り合い?」
「うん、高校の時の同級生だと思う」
困惑する海斗の表情を見たミキは海斗の肩をたたいて明るく言った。
「じゃあ海斗君、話してきていいよ。ご飯作っておくね」
「ごめんなさい、ミキさん」
「大丈夫よ、じゃあ先に帰るね」
歩いていくミキの背を見送った海斗は、リクの方に近づいていく。
「リク?」
ゆっくりと顔を上げる男性。
やはり松島リクだった。
その顔は青白く、目は赤く腫れていた。
「どうした?ひどい顔だよ。何があったの?」
「あ・・・海斗・・・」
海斗から目をそらすリク。
肩を震わせている。
そんなリクの表情を見るように屈んで覗き込む海斗。
「なぁ、リク。どうしたんだよ」
うつむいたままのリク。海斗は覗き込んだままでリクの言葉を待った。
しばらくすると、震えた小さな声を絞り出した。
「・・・・振られたんだ・・・」
「振られた・・・・奏良に?」
「・・・・俺より、海斗の方がいいって・・・」
肩を震わせるリクの頬には涙が流れていた。
「俺・・頑張ったんだよ。頑張ったけど・・・ダメなのかよ・・・。やっぱり海斗に勝てないのかよ・・・」
肩を震わせ・・・こぶしを上げる・・・。
しかし、その拳は海斗に向かうことはなく・・・リク自身の足の腿を叩く。
「くそっ・・・くそっ・・・俺の何がダメなんだ・・・くそっ・・」
涙を流しながら自分の足を叩き続けるリクの方に手を置いた海斗。
「リク・・・リクは頑張っているよ」
「でも、奏良は俺より海斗のことを・・なんで・・・!!」
道端に膝をついてうずくまる松島リク。
海斗はリクの肩に手を回した。
「リク、場所を変えて話そうよ」
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