【極感謝】★1700記念SS ③
呆然とするリクに、奏良は言葉を続ける。
「だって、最近は会っても映画に行くかカラオケに行くかゲームセンターに行くかだけじゃない。だいたい、話す話題もくだらないことばかりで中身がないし面白くないし」
リクには思い当たることばかりだ。
リクと奏良は別々の大学に進んだ。共通の趣味があるわけでもない。そのため、共通の話題を探すことが難しくなってきていて当たり障りのない話題・・・TVのドラマとか、最近の映画とか漫画とか・・・。そんなことくらいしか話題にできていなかった。
デートに行くとしても、限られたこづかいでは行けるところは限られる。最近バイトを始めたが、あまり真剣に取り組んでいないので収入は限られる。
免許もないのでドライブというわけにもいかない。
「ご・・・ごめん。じゃあ・・・今度旅行に行かないか?バイト始めたからお金貯めて。それならきっと楽しいと思うんだ・・・。だから・・・」
「そんなの行きたくない!」
大きな声で遮る奏良の声。
リクに向け目から涙があふれている。
カフェの店内の客は、何事かとちらちらと見ている。
リクは焦って、必死にどうするべきか考えていた。考えれば考えるほど何も浮かんでこない。
「前は!・・・・前は楽しかった!海斗がいたときはずっと楽しかった!」
決定的な言葉。それはリクの胸に深く突き刺さった。
目お見開き、口を開いたままリクは何も言えなくなった。
「だから、もう・・・無理なの!サヨナラ!!」
奏良はそう言い放つと席を立ち、カフェから走って出て行った。
リクは何も言えず、引き留めることもできず見送ることしかできなかった。
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