【超超感謝】★1250記念SS ⑨
その日の夜。
仮眠をとった海斗とミキは、一緒に夕食を食べていた。
「今回はとても疲れましたが、勉強になりました」
めずらしく饒舌な海斗が、少し興奮気味にバイトでどんなことをしたのかをミキに話す。
ミキは笑顔で相槌をうちながら聞き役に回った。
いつもはミキが一方的にしゃべって、海斗がにこにこと聞いていることが多いのであったが今回は逆であった。
それがミキにとっては新鮮であり・・・そして、これも悪くないと思っていた。
「それでですね・・・ミキさん。もっとミキさんの仕事のことを教えてほしいんです」
「私の仕事?」
「そうです。ミキさんのやっているネイルとか、最近始めたメイクなどの美容とかの仕事についてもっと知りたいんです」
ミキは不思議そうに聞いた。
「もちろん、海斗くんに教えるのはうれしいけど、突然どうしたの?」
そんなミキに、海斗はキラキラと輝く瞳で真剣に話してきた。
「今回のバイトをしてみたら、僕が今後何の写真を撮っていきたいかについて考えさせられたんです」
ミキの目をまっすぐに見つめて海斗は言う。
「そしたら、ミキさんがいつも真剣に話してくれる仕事・・・それを撮ってみたいと思いました。ミキさんが作り上げた作品を写真にしてみたくなったんです」
ミキは胸をきゅっとするのを感じた。
ミキの作り上げた作品・・・それを海斗が写真に収めて残していく。
ミキの目頭が熱くなり・・・涙があふれてきそうになる。
「あの・・・ミキさん。どうしました?」
無言になったミキを心配そうに海斗がのぞき込む。
「・・・うれしい・・・。海斗クン・・・それって、とっても・・・うれしいよ・・・」
ミキは海斗の胸に抱きついた。
数年後。ミキが店長になった美容サロンのディスプレイやマーケティングに使用する写真は海斗が担当することになった。
最初、オーナーは縁故採用言うことで嫌な顔を見せたが海斗の作品を見て何も言わなくなった。
それほどまでに、海斗の作品は素晴らしいものであった。
そうして、ミキと海斗は公私ともお互いを支えあうパートナーとなっていったのである。
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