【超超感謝】★1250記念SS ⑥

 次の日の朝。

 海斗は時間通りに6時前にロビーに行くと、昨晩と違うスタッフがバイトのメンバーの点呼をしていた。


「おはようございます。三崎です」

「おはようございます。本日もよろしくお願いします。今日は午前中で終わりですので頑張ってください」

「はい、よろしくお願いします」


 午前中までと聞いて、海斗は安堵した。

 正直、まだ眠かった。


 やがて、全員がロビーに集合した。

 スタッフの手配したワゴン車に乗り込み、10分ほど離れた場所に移動した。


「ここは・・・結婚式場?」


 スタッフに連れられて、西洋風の建物に入っていく。

 そこは、明るい大きな窓のチャペル。


 すでに撮影準備が進められていて慌ただしくスタッフやバイトたちが動き回っている。


「河瀬ナナさん・山下カオリさん入りまーす」

「よろしくお願いしまーす」


 昨日と同じモデルの女性たちがチャペルに入ってきた。

 昨日も遅くまで撮影していたのに、疲れを見せない笑顔。


「はい、では全員聞いてくれ」


 大きな声で山野がチャペルの中央でカメラを手に号令をかける。


「今日は、この結婚式場での撮影です。ここが使えるのは営業を開始するまでの8時半までです。限られた時間ですので皆さん頑張ってください!よろしく!」


 スタッフが全員に指示書を配る。


「では、早速撮影に入ります!まずは河瀬さん・山下さん、こちらに立ってください。そう・・ではポーズを・・・」



 そして、また慌ただしい撮影が始まった。


 昨日と違って、今日はおしゃれなチャペル。 

 だが、今日の撮影も海斗の想像していたファッションモデルの撮影現場とはかけ離れたものであった。


 カメラに切り取られていくのは、素敵なチャペルで着飾っている美しいモデルの姿。おそらくは、結婚式に参列している想定なのであろう。


 しかし、その写真を撮影している現場はまるで運動会でもしているようであった。


 撮影しては、新たな服に着替え、そしてまた撮影して着替え・・・

 それをひたすら繰り返していく。


 海斗は照明の操作。今日はさらに、レフ板も持つことになった。

 やはり、服に合わせて細かい指示が指示書に記載されている。

 もちろん、指示書通りに毎回行われるとは限らない。その場で口頭によって変更を指示される。


 限られた時間であるため、みな真剣である。一瞬の時間も無駄にはできない。

 海斗も指示書に対し間違わないように必死で撮影についていこうと集中していた。


 だが、海斗は一方で思っていた。

 

 自分の仕事も楽ではないが、2名のモデルとカメラマンの山野の方が間違いなく重労働である。

 だが、彼らはまったく疲れを見せずに撮影を続けている。


”・・・これが本当のカメラマンの仕事なんだ・・・” 

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