【超超感謝】★1250記念SS ④
「河瀬さん、山下さん。本日、以上となります。ありがとうございました~!」
「おつかれさま~」
21時を回った頃、スタッフの号令。
モデルの二人が頭を下げて挨拶をして控室に入っていった。
ようやく撮影終了か・・・長かった。
そう思った海斗に、続いたスタッフの言葉。
「では、15分休憩で~す」
「え・・・」
驚く海斗に山野が指示書を渡してくる。
「今日の最後の指示だ。もうちょっとがんばれよ」
「あ・・・終わりじゃなかったんですか?」
「バッグなどの小物などのモデルが必要ない撮影が残ってるんだ。もうひと踏ん張りだ」
思わずため息をついて答える海斗。
「はぁ・・・」
山野はニヤッと笑って海斗の肩をたたく。
「これがプロの現場ってやつだ、がんばれよ」
―――――
「うわーん。きっと今頃、海斗君はモデルの女の子と仲良くなってたりするんだ~」
「はいはい。ミキちゃん飲みすぎよ。早く鍵だして」
完全の悪酔いしているミキを、親友の美月がマンションまで付き添ってきていた。
ミキが、ハンドバッグからリップやらハンカチやらを落としながらようやく鍵を取り出して扉を開ける。
美月はミキが落っことしたものを拾って一緒に部屋に入った。
「へぇ~。ここがミキちゃんと海斗君の愛の巣かぁ」
「美月、その言い方いやらし~。やめてよ~。美月ったら、そんなこという子じゃなかったのに~。あんな男に引っかかって、不良になっちゃったぁ~」
「な・・・何言うのよ!?」
美月はソファにミキを座らせて、キッチンから勝手にグラスを出して水を入れて持ってくる。
ミキはそれを、ごくごくっと飲み干した。
「ぷはぁ。生き返る!」
「まったく、飲みすぎよ。一晩、別々に行動するだけじゃない」
「でも、海斗クンって持てるから心配で・・」
「そんなことじゃあ、重い女って思われるわよ」
もっとも、十分に重い女であることは間違いない・・・と美月は思っていた。
「え・・・それは困る~」
その時、ミキのスマホがピロン!と音を立てた。
バッと、ミキはハンドバッグからスマホを取り出して、凝視する。
そこに表示されたメッセージ。
『ミキさん、ごめんなさい。まだ、バイトが続いているので今日は電話できそうもありません』
「え・・・まだバイト中なの・・・!?」
時計を見ると22時を過ぎている。
ミキは美月と顔を見合わせて呆然と声を出す。
「え・・・ブラックな職場・・・?」
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「お疲れさまでした。本日の撮影終了です!」
ようやく撮影が終了したのは、0時を回った頃であった。
撮影現場全体の空気がようやく緊張感から解放された。
みな疲れ切っているのが見て取れる。
海斗たちバイトのメンバーはスタッフに連れられてスタジオのすぐそばのビジネスホテルに連れられてきた。
ロビーでお弁当を渡されて、スタッフは全員に告げた。
「本日はお疲れさまでした。では、明日は朝6時にロビーに集合です。遅れないようにしてください」
「え!?」
「明日も朝から撮影です、ゆっくり休んでください」
渡された鍵の番号の部屋に入りベッドに倒れこんだ。
ベッドの上で、海斗はカメラマンの仕事が想像以上にハードなものだと思い知っていた。
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