【超感謝!】★900記念SS ⑥
その後、弥生から語られた話。
岳治と弥生はもともと幼馴染であった。
しかし、特に交際しているというわけではなかったらしい。
岳治は高校を出ると東京の大学に進学した。
弥生は家の農家の手伝いで茨城に残っていた。
ある年、弥生に縁談の話が持ち上がった。
地元の大きな農家が跡取りとの見合いを申し込んできたのだ。だが、弥生は一人娘であり弥生が嫁に行ってしまうと、跡を継ぐ者がいなくなってしまう。
両親はどうしよかと悩んでいた。
そんなとき、突然に岳治がやってきて言ったのだ。
「弥生さんと結婚させてくれ。結婚するまでここから動かない」
どうやら、弥生に縁談が舞い込んだと聞いたらしい。真剣な表情で玄関の土間に座り込む。そして2日間座り込んだ結果・・・哀れに思ったのか両親が家に上げてしまったのだ。
大学が夏休みの間、弥生の家に居候する岳治。夏休みが終わって東京に戻ったと思ったら・・・冬休みにもやってくる。
そんなこんなで・・・
結局は、婚約をし・・・祝言を上げることになったのだ。
「素敵な話ですね」
感動しているミキ。
弥生が話している間、縁側で恥ずかしそうに顔を赤くしながら庭を眺め茶をすする岳治であった。
弥生のとりなしもあり、海斗はミキと同居することを許可してもらった。
父親には祖父母から伝えてもらえると言ってもらった。
条件は、子供を作るのは結婚してからということ。それまではちゃんと気を付けるように言われた。
恥ずかしいため、赤面しながら海斗は”はい”というしかなかった。
帰りの電車の中。
ミキは海斗に寄り添いながら言った。
「おじいさまとおばあさま。素敵な夫婦でしたね。ああいうの、あこがれるなぁ」
「え?・・・あぁ・・そうですね」
海斗は気恥ずかしそうにうなづくのであった。
ミキは、思った。
私たちも将来、あんな夫婦になれるといいな・・・
----
がらんとしたアパートの部屋。
この部屋は高校生の時からおよそ4年間過ごしてきた。
今日、海斗はミキの家に引っ越すのだ。
家財道具のほとんどは、祖父母の家に送った。祖父母は、いつか必要になるだろうと言って引き受けてくれたのだ。
残っているのは、着替えの入ったボストンバックだけ。
海斗はボストンバッグを肩にかけ、玄関の扉を開ける。
なんとなく・・・誰もいない部屋に向かって話しかける。
「お世話になりました・・・さよなら」
そして扉を閉める。
海斗は、すっと 心が軽くなった気がした。
新しい人生に、一歩踏み出した・・・そんな気がしたのだ。
さぁ、帰ろう。
愛しい人が待っているマンションに。
これから二人、今まで以上に幸せな生活が待っているにちがいないのだ。
◇◇◇◇
【超感謝!】★900記念SS 完
皆様、読んでいただきありがとうございます。
たくさんの人に読んでもらえて、とてもうれしいです。
☆が1000を超えてしまいました。
そんなことになるとは、想像もしていませんでした。
☆1000で、ミキさん主役の小説を投稿することを考えていましたが・・・もうしばらくお待ちください。
かなり、取材・調査しないと書けないので・・・
(仮題:月の女神様~その店ではお客様に幸せになる素敵な魔法をかけてもらえます)
【あらすじ】
とある街角にあるお店 Studio Diana
その店で、メイクやネイルを教えてもらったら・・・幸せをつかめると評判のお店である。
今日もまた、悩めるお客さんが扉を開ける。
店長のかける幸せな魔法を求めて・・・
◇◇◇◇
参考作品
『日本ワインに酔いしれて』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054897721872
これを読むと、ミキさんや海斗が時々登場します
『瀬戸美月(24)がんばる!! ~日本ワインに酔いしれて スピンオフ』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます