【超感謝!】★900記念SS ④
ミキは緊張していた。
こんなに緊張したのは生れてはじめて。そのせいで、昨晩はあまり眠れなかった。
早朝から、化粧を何度もやり直した。鏡の前で服装を長時間チェックした。
ミキにしてはかなりおとなしめの服装と化粧。
地味といってもよい。
今日は、海斗の祖父母の家にあいさつに行くのだ。
”いい天気”の常連のリンさんに言われた言葉が、頭の中を何度も
”田舎の農家のお年寄りだとすると、かわいい孫が都会の女に騙されてるっておもわれないといいよなぁ”
うあぁぁぁぁぁぁ
客観的には、そんな風に見られたりするんだ・・・
しかも、同棲を許可してもらおうだなんて、なんて言ったらいいのだろう。
ど・・・どうしよう。
「ねぇ、海斗君。服装とかおかしくない?だいじょうぶかな・・」
茨城に向かう特急電車の中、朝から何度も繰り返した問いをする。
「大丈夫ですよ。そんなに緊張しなくても、電話で話したときは歓迎してくれそうでしたから」
「うぅ・・・大丈夫かしら」
乗り換える予定の水戸駅に近づく。
海斗は、ミキの気を紛らわせようと声をかける。
「ミキさん、あのあたりに見えるのが偕楽園ですよ。そのうち観光しに来てもいいですね」
だが、ミキはブツブツとメモ帳を見ながらつぶやいている。あいさつの言葉を練習しているだ。
そんなミキの頭をなで、ほほを寄せる。
「ミキさん。そんなに緊張しなくても大丈夫です。僕が祖父母にちゃんと話しますから。そろそろ乗り換えですよ。乗り換えてからもしばらくかかりますよ」
「うぅ・・ありがとう。海斗君・・・」
乗り換えたのち、目的の駅まで1時間近くかかった。
しかも、そこからタクシーで20分。
ようやく、海斗の祖父母が待つ家に着いた。
ミキはその家を呆然と見ていた。
瓦葺の大きな門。
その向こうには、昔ながらのりっぱな家
まるで時代劇に出てくる建物のよう。
すると、玄関の引き戸が開き年配の男性だ出てきた。
海斗は手を振ってそちらに向かう。
ミキはガチガチに緊張して、ロボットのように海斗の後をついていく。
心臓はバクバクと激しく、喉から飛び出そうであった。
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