【超感謝!】★900記念SS ③
しかしながら、海斗がミキに相談したのは数か月たってからであった。
ミキが会社の立ち上げのために多忙であったため、海斗が気を使ったためであった。その間、週に一度アパートに帰って空気の入れ替えと掃除を行っていた。
そして、数か月後・・・
海斗の19歳の誕生日に、意を決して相談したのであった。
週に一度、アパートに帰っていること。
光熱費・・・家賃がかかり続けていること。
「それじゃあ、このマンションで一緒に住もうよ。そしたら、全部解決よね」
こともなげにミキは言った。
ミキとしては、名実ともに海斗と暮らせるという事に何の抵抗もない。
ところが、海斗は少し悩んだ表情。
「それが・・・今のアパートは父の名義で借りているので・・・」
「あ・・・そっか・・・」
アパートを解約するにも、父親に許可が必要であろう。
「しかもですね・・・前にいった通り、父はまだ入院しているんです」
「脳出血だっけ・・命に別状は無いんでしょう?」
「はい、ただ右半身に障害が残っているんです。それでリハビリの病院に転院しているんです。それと・・・」
「うん?」
海斗はちょっと躊躇した後に告白した。
「もともと、脳出血で入院する前も・・・うつ病で会社を休職していて、茨城の祖父母の家で療養していたんです」
「え・・・」
「うちは母をずいぶん前に亡くして父子家庭ですし。そんな状態なので、父には話にくいんです・・・」
「そっか・・」
ミキは、海斗の頭を抱き寄せる。
「私も、海斗君を親に紹介しないとね」
「はい」
ミキも、自分の家のことを話しだした。
「うちは母子家庭でね。ずっと母親に育てられたんだけどね。私はどちらかというと出来の悪い子供だったから、迷惑をかけっぱなしだったんだ」
「そうだったんですか」
海斗は、美樹の父親については聞いてよいかと逡巡した。
それを察して、ミキは話した。
「ちなみに父親は私が子供の時に母と離婚して、今はどこで何しているか全くわからないの」
「そうですか・・・」
「どう?うちの母に会ってみる?」
「ちょっと、緊張しますね」
海斗はそう言って笑った。
「それにしても、海斗君のお父さんの許可をどうしようかしらね」
「それなんですけど・・・まずは茨城の祖父母に紹介したいとと思うんですけど。いいでしょうか?」
ミキは微笑んで、首を縦に振った。
そうして、二人は同棲するためにそれぞれの実家に向かう事にしたのだ。
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